検察の在り方検討会議 第4回会議 議事録

検察の在り方検討会議

検察の在り方検討会議
第4回会議 議事録

第1 日 時  平成23年1月13日(木) 自 午後1時33分
至 午後5時56分

第2 場 所  法務省20階 第1会議室

第3 議 題
1 最高検察庁による検証結果についての質疑応答
2 ヒアリング・意識調査(サーベイ)の実施等について
3 その他

第4 出席委員等 千葉座長,石田委員,井上委員,江川委員,郷原委員,後藤委員,佐藤委員,高橋委員,但木委員,龍岡委員,原田委員,宮崎委員,諸石委員,吉永委員

第5 その他の出席者 黒岩法務大臣政務官,事務局(神,土井,黒川)

第6 説明者 最高検察庁 小津次長検事,池上刑事部長,上冨検事

第7 議事

○千葉座長 それでは,予定の時刻となりましたので,検察の在り方検討会議の第4回目の会合を開会させていただきます。
本日も御多用の中,御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
なお,本日は嶌委員におかれまして,所用により御欠席と伺っております。
議事に移らせていただきます前に,まず事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局(黒川) 配布資料の確認をさせていただきます。
本日皆様のお手元にお配りしております資料は合計6点ございます。事務局からは,本日の議事次第及び「ヒアリング候補者」と題する1枚紙の2点をお配りしております。
なお,ヒアリング候補者につきましては,特段事務局において優先順位付けして並べたものではございません。委員の皆様から寄せられたお名前を機械的に並べさせていただいたものです。
そのほかに,皆様のお手元には,石田委員,郷原委員,宮崎委員及び本日御欠席の嶌委員の4人の方々からそれぞれ御提出された書面をお配りしております。
また,前回お配りいたしました最高検察庁の検証結果報告書につきましては,本日,委員の皆様に御持参をお願いしたところでございますが,万一お手元にない委員の方がいらっしゃるようでしたら,余部がございますので,お申し出ください。
事務局からは以上でございます。
○後藤委員 ちょっと質問してよろしいですか。このヒアリング候補者は,委員から提案のあった方が全て網羅されているのですか。それとも取捨選択されていますか。
○事務局(黒川) 委員から寄せられたお名前を全て並べさせていただいたつもりであります。
○後藤委員 私が出した検事は載っていますか。大阪地検の検事を候補者として挙げたはずですが。
○千葉座長 もし漏れがあれば,すぐ事務局の方で追加して,後ほどペーパーをもう一度お配りいただきたいと思います。
○事務局(黒川) 申し訳ございませんでした。分かりました。
念のためですが,後藤委員の方から,この中でそれ以外は大丈夫でしたか。
○後藤委員 はい。
○事務局(黒川) 分かりました。申し訳ございませんでした。

1 最高検察庁による検証結果についての質疑応答

○千葉座長 それでは,議事次第1,最高検察庁による検証結果についての質疑応答に移らせていただきます。
議事の準備をいたしますので,少々お待ちいただきたいと思います。
(小津次長検事,池上刑事部長,上冨検事入室)
○千葉座長 議事を進めさせていただきます。
前回の会合におきましては,最高検察庁から検証結果の概要についての御説明があり,その内容に関しまして委員の皆様から御質問をいただきました。もっとも前回は,検証結果の公表当日でございましたので,報告書を十分に御検討いただく時間がございませんでしたし,会議進行の都合から,質疑の時間も多少限らせていただきました。そこで,御案内のとおり,前回に引き続きまして,今回も検証結果についての質疑の時間を設けさせていただくことといたしました。本日は,委員の皆様からの御質問にお答えいただくために,最高検察庁の小津博司次長検事,池上政幸刑事部長,上冨敏伸検事にお越しをいただいております。
小津次長検事は,前回の会合に出席いただいた伊藤次長検事の後任として,昨年12月27日付けで就任されたとお聞きいたしておりますので,まずは質疑に先立ちまして,小津次長検事から御挨拶をいただきたいと思います。
○小津次長検事 ただいま座長から御紹介いただきましたが,昨年12月27日付けで次長検事を拝命してこのポストに参ったわけでございます。その前に札幌高検の検事長をしておりましたので,座長を始め多くの方々には札幌を御視察・御調査いただきまして,その際に御挨拶等を申し上げたところでございます。
本日も,是非よろしくお願いいたします。
○千葉座長 それでは,これから委員の皆様に御質問いただきたいと思いますけれども,その前に,議事の公開の在り方について改めて皆さんに申し上げておきたいと思います。
前回にも申し上げましたとおり,この度の最高検察庁の検証は,公判係属中の前田元検事による証拠隠滅事件や,大坪元部長らによる犯人隠避事件に関する内容をも含むものでございまして,そのような部分につきましては,現段階においては刑事訴訟法47条の趣旨からして,原則として公にしてはならないものと考えられます。他方で,今回の質疑におきましても,証拠隠滅事件及び犯人隠避事件に関する御質問が予想されるところでもございます。そこで,証拠隠滅事件及び犯人隠避事件に関する質疑応答につきましては,議事を非公開とさせていただき,議事録にも可能な限りの内容を掲載するにとどめることとさせていただきたいと思いますので,御了承をお願い申し上げます。
また,御質問の都度,議事を公開したり,非公開にしたりすると,別室モニターで傍聴している方々には大変分かりにくく煩雑になるものでございます。そこで,質疑応答時間のうち,前半は議事を公開とし,証拠隠滅事件及び犯人隠避事件以外の検証結果全般に関する御質問をしていただくこととし,そのような御質問が一応一段落をした頃に,私から皆様に御確認をさせていただいた上で,後半は議事を非公開として,証拠隠滅事件及び犯人隠避事件に関する御質問をしていただくこととしたいと思いますが,御了承をお願いしたいと思います。
もっとも,前半におきましても,もし刑事訴訟法47条の趣旨等から公にすべきではないと思われる御質問があった場合には,最高検察庁において御回答いただく前に,その旨を申し出ていただければ,その質問を後半に回させていただくなどの適宜の対応をさせていただきたいと思っております。
このような進め方でまいりたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。
(一同了承)
○千葉座長 それでは,このような進め方に御了承いただきましたので,今後この形で進めさせていただきたいと思います。
なお,冒頭から申し上げるのも大変恐縮でございますが,本日の会合もおおむね午後4時30分頃までを予定しておりまして,ヒアリング等についても御議論いただく必要がございますので,質疑の状況にもよりますけれども,質疑の時間はおおよそ午後4時頃までを目途とさせていただければと思っております。そのため,一巡目は,お一人当たり原則1問ずつとして,二巡目,三巡目とお回しできれば,充実した質疑になるのではないかと思っておりますので,どうぞその点,御考慮をいただければと思っております。
○江川委員 その点について質問があるんですが,質問が全部できなかった場合には,例えば文章にして出せば,それで回答していただけるという,そういうことも考えておられるのでしょうか。
○千葉座長 それも,今日の状況を見まして検討させていただきたいと思います。
また,一応の目安でございますけれども,3時20分頃に休憩もとらせていただきたいとは考えておりますが,その後,質疑を非公開とする,こういう段取りでいきたいと思います。
それでは,これから質疑に入りたいと思いますけれども,今申し上げたことを念頭に置いていただければ大変有り難く思います。
それでは,どうぞ,御質問のある方はお手を挙げていただければと思います。
○江川委員 まず最初に,この調査をした,検証するときの対象者なんですけれども,この間,全体的に130人ぐらいで,Aさんの事件に関しては,大体30人ぐらいというふうに言われたと思いますけれども,30人のその内訳を教えていただけますか。内訳というか,誰と誰と誰に聞いたのかという,その名前を教えていただけますでしょうか。
○池上刑事部長 本件がA氏の事件の捜査・公判の過程で,検察でどのようなことが行われていたのかということから検証がスタートしました関係で,検察庁の幹部を含め検察庁職員について30名近く事情聴取を行ったところでございます。
○江川委員 検察関係だけですか。
○池上刑事部長 この関係では,検察官及び検察事務官等でございます。
○江川委員 この間,Aさんについては聞いていないということは伺いましたけれども,そうなると,G氏やHさん及びその弁護人,あるいはほかの厚労省関係者というのは,全然話を聞いていない。つまり,この報告書の中にいろいろな名前が出てきたり,問題点が出てきたりするわけですけれども,その人たちに全く聞いていないわけですか。
○小津次長検事 事実関係としては,そのとおりであると私も理解しております。そして,そのような調査の方法になったことについての私の理解でございますけれども,基本的に,どうしてこういうことになったのか,それに至る過程で検察部内でどういうことがあったのかということが調査の主眼であります。もちろん,それでは実際はどうであったのか,この実際というのは事件とされた事柄でありますけれども,これがもちろん明らかになりますと,それとの対比で捜査の結果明らかになったとされた事柄がどうであったかということが,より明らかになるというのは,それはもちろんそうだと思いますけれども,実際この当時どういうことがあったのかということを解明しようといたしますと,いわば,調査がその当時の捜査のようなことをもう一度行うということになりかねないと申しますか,例えば,一人の方から話を聞いて,さて,その方の言ったことが本当かどうかということでずっといきますと,正にそういうことになると思います。そういうようなことが,何と申しますか,事柄の性質上ございますので,このような手法が採られたと,今,私は理解しております。
○江川委員 捜査のことが問題になっていて,例えば,この間私が伺ったのでは,P1さんとかが,これは偽証の可能性もあるんではないかというようなことも伺いましたよね。そうしたら,本人がこう言っているから,裁判で言ったのと同じことしか言わなかったから,こういうことになったとおっしゃいましたけれども,例えば,それを調べられた側に聞けば,P1さんが言っていることが事実なのかどうか,もう一度確認することができるわけですよね。検証というのは,まず事実をちゃんと明らかにして,その上で,どこに問題があったのか,これからどうするのかということになると思うんですが,それを全くやらないで,つまり事実解明ということが非常におろそかにされていて,これで検証ということで成り立つのかという問題が生じると思うんですが,その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
○池上刑事部長 御指摘の趣旨は,そういう面もあろうかと思いますけれども,A氏の事件におきましては,公判において,例えば,御指摘のP1検事の件につきましても,弁護人側から,その取調べにおける問題点等について種々の指摘,主張がまずなされ,それに基づいてP1検事の取調べを受けたC係長等が法廷で証人尋問の形で取調べの過程をいろいろと証言をし,また,例えばC係長であれば,被疑者ノートその他の書類も提出され,それを受けて,P1検事が更に証人尋問を受けるというような形で,A氏の事件の確定記録を拝見しますと,相当程度いろいろな主張が出てきております。それが正しいかどうかを検証しようという姿勢で臨んで,例えば,例に挙げられたP1検事の例であればそういったこと,あるいは弁護人からの取調べの不服の申立て,申出書,それに対する佐賀副部長の調査内容,調査結果等々も参考にしていろいろお聞きした上,一定の認定をし,検証報告書に記載をしているといういきさつでございます。
○後藤委員 検察庁の中で何があったかを調べたとおっしゃいましたね。その中には,どんな取調べが行われたかということも当然入ってくると思います。特にこの事件では,厚労省の関係者がいずれも捜査段階ではAさんの関与を認める内容の供述調書に署名しているわけですね。どうしてそうなったのかということが非常に重要だと,私は感じます。そこのところの調査がきちんとできているでしょうか。取り調べた側からは聞かれたわけですね。それから,公判に出た証拠は検討された。それは分かりましたけれども,検察官の取調べを受けた方から改めて聞くことは必要ないのでしょうか。例えば,P1検事の取調べの中で,Hさんが弁護人解任届を出しているという事実がありますね。どうしてそういうことになったのかは,解明されているでしょうか。
○小津次長検事 御指摘は十分承りましたが,事実関係として,どういうように最高検が考えて,どういうような人を対象にして,あるいはどういう資料を基にしてこの検証をして報告書をまとめたかという御質問についてはお答えしたとおりでございます。そこについて,でも結局,本当に何があったかということが分からないと,分からない部分があるではないかという御指摘は,ある意味ではそういう面があると言わざるを得ないと思います。ただ,どうしてそれをしなかったのかということにつきましては,先ほど申し上げたような事情だということでございます。
○池上刑事部長 個別の問題につきまして。後藤委員から今お尋ねがあった,P1検事がH氏の取調べで弁護人解任届を書かせる,書かせないという話をしたのはどうしてかということについての検証内容でございますが,我々もこれは問題意識を持って調査しまして,公判記録を見ましたところ,P1検事は,公判の証言の過程で,H氏を取り調べた,これは机をたたいたりして調べたという日の翌日でございますけれども,H氏の弁護人から,前日の取調べに関する申出書が届いたことから,H氏にそれを見せて,どうしてこういう申出があったのかと尋ねたようでございます。それに対して,H氏は,自分の知らないうちに弁護人がそういう申出をしたんだと。自分は弁護士費用も負担になっているので,この際,弁護人を解任したいということで解任方法を尋ねられた。それで教えたというような証言があるということを把握しました。
○後藤委員 検事の証言は,Hさんが解任したいと申し出たという証言ですか。
○池上刑事部長 はい,そういう証言でございます。
○後藤委員 Hさん自身の証言はどうですか。
○池上刑事部長 簡単に申し上げますと,その点について,H氏は特に法廷では弁護側からも検察側からも聞かれておらず,証言はしていませんけれども,証拠決定の中で,なぜ,H氏がこの時点で弁護人を解任しなければならないのか,そういう事情はないではないかということ,それから,H氏から仮に解任届の書き方を問われたとしても,その書き方を教えるのが相当かどうか疑問が残るということがありましたので,P1検事にその観点から事情を聴取しました。証言等は変わりませんでしたけれども,このやり方は不相当であるという考え方に立って検証報告書は作成しているところでございます。
○江川委員 それに関してちょっとおかしいと思うんですが,今の池上さんの話だと,P1検事はそのことをしゃべったけれども,Hさんはしゃべっていないということですが,これ順番は,H証人が先にあって,その大分後からP1さんが出ているんですね。だから,P1さんがこういうふうに言ったけれども,これは果たしてあなたの立場からどうですかというのをHさんに改めてここで聞くべきではないんですか。Hさんは聞かれなかったから言わなかっただけの話で,こういう検証の機会だからこそ,それはどっちなのかと,両論併記なり何なりすべきではなかったんでしょうか。
○池上刑事部長 御指摘の趣旨は承りますけれども,公判でP1検事の相当詳細な尋問があり,かつ証拠決定も問題視しているということで,我々もこういうやり方は問題であるという認識に立ったものですから,H氏その他に改めて御迷惑をかけるまでもないという観点から,このような認定をしたところでございます。
○郷原委員 先ほど来,池上刑事部長から,公判で十分に両方の立場からの質問も行われている,だから,それなりの事実解明が行われていることを前提にして今回の検証を行ったんだという御趣旨の発言があったと思うんですけれども,確かにそれはそれで,一面はそのとおりだと思います。しかし,大きな違いは,この公判というのは,検察は少なくとも無罪判決が出て,その後,上訴権放棄をするまでは有罪を目指して立証していたわけですね。有罪を目指して,有罪であるという前提で。そして,その公判の中でも,やはり弁護側は弁護側で,弁護戦略のもとにいろいろな質問をしているわけで,そこに一定の限界があったと思うんです。ところが,今回の事件については,もう既に無罪判決に対して上訴権放棄も行われて,事実上えん罪だということを認めざるを得ない状況になっているわけです。この状況において,それではどうしてこんなことになったのかということを,今,改めて検証しないといけないんではないか。そうなると,公判で出てきたやりとりですね,それをフォローするということでは全然私は足りないと思うんです。
あとは,問題は,この検証がどういう性格のものなのか,前回もお聞きした,行政的なものなのか,対社会的なものなのか,検察として反省すべきことを世の中に公表したというだけなのかという性格論に関わると思うんですけれども,その辺りを是非はっきりさせていただきたいんですが。私は,この報告書を見る限りは,検察が部内的にこれまでもやってきたような実務的な反省点を明らかにするというところから全然抜け出られていないんではないか。社会に対してこの事件がこうであったというようなことを検証されたとは思えないんです。そういう認識でよろしいのかどうか,今回検察で,最高検で行われた検証の性格がそういうものであるのかどうか。そうだとすると,そういう一方的な見方だけで世の中に対して再発防止策を,こういうものを明らかにするということは,果たして適切だったのか。そして大坪特捜部長は非常に特殊な性格で,彼が招いた犯罪のようなものだという認定がどうもなされているような気がするんですけれども,そういう見方はどうなのか。私は,そこはこの検証の性格論に関わるんではないかと思うんですけれども,その辺りはどういうふうにお考えでしょうか。
○小津次長検事 この検証と報告書が,最高検の側がどういう理由でこういう方法をとったのかというのは御説明したとおりでございます。
この報告書は,取りまとめて公表することを前提になされたわけでございますし,また,この報告書に明示的に記載してもございますけれども,この会議での検討にも資するように,そのように使っていただきたいという目的ももちろんあって作られました。そういう意味では,当初から世間の皆様に見ていただくということを前提にし,意識して行ったわけでございます。
確かに部内にとってもこの報告書は極めて重要でございまして,実は私,先日まで札幌におりまして,札幌におりますと,かなりの部分が報道されておりましたので,全くとんでもないことが起こったなということについては,私も含めて理解できるわけですけれども,それでも,一体どうしてこんなことが起こったのかということですね,検察庁の部内で。それがなかなか分からないままにずっと推移してまいりましたけれども,そういう意味では,検察の中でどういうことがあってこういうことになったのかということについては,かなりの材料が得られたと理解しています。そういう意味で,これから検察庁が取り組んでいく上で重要な出発点ができたと思っております。
さらに,郷原委員の御指摘のポイントだと思いますけれども,広く世間の方に分かっていただくためには,この報告書は背景事情等もできる限り明らかにしてというふうに表現しておりますし,それについてのコメントもございますけれども,それが大阪の特捜部,大阪ということに非常に限定された書きぶりが目につくと思います。これは,調査,検証と報告書のやり方とも関わりますけれども,調査は,検察庁が捜査をするのと同じような密度で同じようなことをやり,こういうことは認定できるということで書いてあるわけでございます。その中で背景事情ということで書きましたので,そういうような認定の上で,いわばここまでは言えるということが書かれているわけでございます。
それでは,大阪だけの問題なのかということについては,もちろんそうは思っておりませんので,例えば,最後のところでも,これは全ての検察の問題であるから,全職員が自分のこととして考えるべきだということは書かれております。それでは,これがどのような意味で全ての職員の問題であるのかということについては,この報告書に十分書かれているとは私も思っておりません。この点につきましては,これからこの会議でいろいろ御指摘をいただくことになると思いますし,また,我々もまずはこのことはやろうということで幾つかのことを書かせていただきましたので,これを実践に移していく過程,あるいはそのやり方を考えていく過程で,これがどういう側面で,どういう意味で全体のことなのかということについての議論を深めていかなければいけないという認識でございます。
○石田委員 今,小津次長検事さんがおっしゃったことに関連しますが,御指摘があったように,全ての検察官が自己の問題として受け止めなくてはならないとこの報告書に書かれております。しかし,この報告書は,一方では,本件に至った原因は,当時の大阪地検特捜部の特異性にあったということが強調されております。私がいろいろなところで行ったヒアリングでも感じたことですが,多くの検察官は,この問題は本当にあり得ないことだ,あるいは自分だったら決してしないということで,自己の問題として捉える基盤がないようにどうしても思われたのでございます。
この報告書でこのように書かれたのは,何をどのように自己の問題として受け止めよという,今の現職の検察官の皆様方にどういうようなメッセージをここの中に込められたのか,その辺りのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○小津次長検事 まず,個々の検察官に,これについてどう思いますかという問いを,例えば私にしたといたしますと,とても全く信じられない,自分だったらこんなことするわけはない,聞いたこともないという答えがまず返ってくると思います。私自身もそう思います。
それでは,その人が,私も含めてですが,自分とは全く関係のない話だと感じているかというと,それは,私は全ての検察庁の職員が非常に強い衝撃を受けていることは間違いないと,これは私の観察でありますけれども。さてそれが,自分だったらこんなことやるわけはないし,聞いたこともない。しかし,検察の中で起こった。違う言い方をしますと,検察がこういう事件を生み出してしまった,あるいはこういう人たちを生み出してしまったということがあるわけでありまして,全く検察と関係のないところで誰かがとんでもないことをしたという話とは全く違うと理解しております。
先ほどの答えと若干重なるわけでございますけれども,石田先生の御指摘は誠にごもっともでございまして,今後,これがいかなる意味において,一人一人の全ての職員にとっての問題なのかということについて,我々として是非議論を深めていかなければならないと思いますし,一人一人の検察官がこれを読んで,すぐに,そうか,そういうことで自分に関係あるのかということが分かるように書いてあるかという御質問であれば,私もそのような書き方にはなっていないというふうに率直に申し上げたい。
○但木委員 検証ですから,推測とかそういうものは避けてお書きになっているので,それは足りない部分があるのは仕方がないと思うんですけれども,ただ,非常に気になるのは,検察の風土というか文化の部分と,この事件が関係ないのかということについて,少なくともこの検証の中では明らかにはされていないように思うんですけれども,端的に言うと,前田君にしても,大坪君にしても,佐賀君にしても,入ったときはやはり正義を実現したいと思ってみんな入ってきているわけです。特に彼らの場合,一人は東西で非常に重用されて重要な調べを受け持っていた人,一人は大阪という非常に重要な地点で特捜部長にまでなった人,あるいは副部長にまでなった人ですね。そういう人たちが,なぜそういう重要なポストに就けるのか,あるいはそういう人たちが,そういう重要なポストにいたからこそ,そういうような,そういうようなというのは,もっと端的に言うと,自分が筋決めをした,その筋と違う証拠がある場合に,逆に言えば,被告人から見れば,あるいは被疑者から言えば,自分の決定的無罪を証明するかもしれない証拠について改ざんしても恥じないという,これは相当な問題なんですよ。それは,単に一人の個性とかそういう問題ではない部分があるんではないか。
つまり,私は,少なくとも東でも彼は重要な調べをしていたということに鑑みれば,東だって彼を評価していたではないかという問題がちゃんとあると思うんです。なぜ,彼はそんなふうになってしまっていったんだろうか。それは何か原因があると思うんですよ。余りセンチメンタリズムで言ってはいけないかもしれないけど,ある意味で,彼ら三人だって犠牲者なんです。だから,我々は,やはりそういうものを生み出した土壌というものがどこにあるのかなというのを考えなきゃいけない。それは,今度の検証は限界があるから,その中で全部解明できますなんて私は思っていないけれども,しかし,それについて,最高検は現時点でどうお思いになっているのかということについてお伺いしたい。
○小津次長検事 現時点で,次長検事である私がどう思っているかということでお許しいただければと思いますが,私は,その検事になる人間も当然もともとは普通の人間でありまして,司法試験に合格するということは,人よりも勉強をして良い成績をとることに向いている人であるということはそうだと思いますが,それを除けば普通の人。その人の中で,やはり検察という仕事をやりたい,これはやはり検察の使命というものを自分のものとしたいということであろうと思います。その意味では少しは違いますけれども,もともと普通の人であります。
この人が検察官になってから仕事を通じて成長していくわけでありますけれども,これは,一つ積極的な面を先に申し上げますと,我が国の検察庁の実際の仕事というのは,検察官が直接に事件当事者と接触して,取調べという形がほとんどでありますけれども,向かい合うということをやっております。これは諸外国に比べてもかなり特徴的な点だと思います。かなりの部分は,それを通して自分というものを成長させていくという面が我が国にはあろうかと思います。それから,必ず法と証拠に基づいて一つ一つのことをやっていくのだというふうに行動するように教えられますし,そのように行動していくことによって法律家としても成長していくのであろうと思いますし,実際にそのように感じておりました。
他方,特にこのような事件が発生して見てまいりますと,これはもういろいろな要素があると思いますし,いろいろな見方があると思いますけれども,一つだけ申し上げますと,検察官として捜査をして公判をする。そのときに,検察は公益の代表者でありますけれども,刑事司法,刑事裁判手続の中で,当事者として活動する。そのことが今の刑事裁判の構造上不可欠のものなわけであります。現実には,法廷で戦後飛躍的に力をお付けになった弁護人と対峙をして,その中で検察官というのは訴追官として主張・立証活動をし,弁護人が刑事弁護人として活動して,その上に立って裁判所が判断をするという構造でございます。
この当事者として活動していく過程で,これはもちろん警察の事件ですとまた違う面もあると思いますけれども,特に特捜事件で一番最初から自分が捜査をして訴追をして,公判で弁護人と対峙をしてということを,しかも大きな事件でありますから,非常なプレッシャーの中でやるという過程でいろいろな課題が出てくる。特に,これもややセンチメンタルな表現で恐縮ですが,人というのはそれぞれ生身の人間でありますから,それぞれの人なりの弱さを持っておりまして,弱い人ほど強がるという面もあると思いますが,なかなか外から見えないという面があります。なかなか外から見えないこの弱さを持った人が,激しいプレッシャーの中で当事者として行動することを求められ,少なくとも表面的には当事者として行動して,表面的な成果を上げた人は,よくやったというふうに言われるという中でやってくる中で,こういう人が出てしまったのかというのが,一つ今私が思っていることであります。もちろんそれに尽きるものではありませんが,例えばそういうようないろいろな切り口を是非いろいろと御指摘いただきながら,我々の中でもっともっと考えなきゃいけない。もちろん,だからといって,それで今私が申し上げたことが何かの解決策につながるわけではありませんけれども,要因を探っていくという意味では,例えばそういうような考察が必要かなと思っているところでございます。
○吉永委員 恐らくこういう事件の当事者にならなかったら,前田さんも大坪さんも佐賀さんも,信じられないというふうにおっしゃったのではないかというふうに思うんです。ですから,そういうふうな個人の気持ちをどこかで歪めていく構造をどこまで解明する気があったのかどうかということがやはり知りたいなというところが第一点。それにしては,余りにもそういう個人の問題,あるいは大阪の問題に偏り過ぎているのではないかというのが,どうしても,今の御説明を聞いていても,そのように感じざるを得ないというのが私の印象としてはございます。
それと,もう一つ不思議に思うのは,するべきことがなされなかったとか,捜査が十分でなかったという言葉がたくさん出てくるわけです。例えば,その当時,郵便法違反事件の関連捜査で人員に余裕がなくて,結果,十分な捜査ができなかったというふうなことが書かれているんです。そのときに,検事正が,やはりこの人員が足らないのではないかということに気が付いたようで,他の検察庁からの応援を検討したらどうかというふうに言っているわけですよね。にも関わらず,大坪さんの段階で必要ないとつっぱねている。では,ああ,そうですか,一応言ってみましたがで終わってしまう。ここで本当に人員が足らないために捜査が十分できなかったというのであるならば,なぜ,そのときに言っただけで終わってしまうのか。では,一体検事正の役割というのは何なんだろうか。上級職あるいは上級庁にしても同じだと思いますが,この体制のままでは,幾ら今回結論としてお出しなされたような上級庁のチェックをより厳しくする,段階をもっと増やすというようなことをしても,これでは何の意味もないのではないか。一体こういう段階の中で,それぞれが指導する立場の人は指導してきたのか,監督する立場の人は監督できていたのか,それはなぜできなかったのかということは余り詳しくは書かれていないんですが,そのところはどのようにお感じになっていますか。それはしなくてもいいとお考えだったんですか。
○小津次長検事 では,今の吉永委員の御質問を踏まえて,決裁の問題について私が感じていることを申し上げさせていただきたいと思います。
検察庁において,一人一人の検察官が独任制官庁であるということと,それから検察庁が組織として一体的に動いているという,この両方のことをどういうふうにやっていけばいいのかというのは,これは昔からの永遠の課題でありまして,しかも,このことは検察庁で働いてみないとなかなかピンとこないところが率直に言ってあるわけでございます。
少なくともこれまでは,私は日本の検察官というのは独任制官庁だということと,検察官同一体の原則という相反するようなことが,全体としては非常にうまく運用されてきたのかなというふうに感じておりました。現在でも,全体としてはそうかなとは思っています。
ただ,こういう事件を見て決裁の在り方というのを考えてみますと,決裁というのは,決裁を受ける下の立場からしますと,上がいつもうるさいこと言ってしようがないな,なるべく決裁というのは軽い方がいいなと思うわけでありますし,上からしますと,下のやっていることは心配だけれども,できるだけ伸び伸びと自由にさせてやらないと,意気も上がらないし,だめだなというように思うわけでありますが,これは悪くすると,下の者は,まあ,上がこんなように考えているはずだからこうしようと思い,上は,まあ,下がそういうふうに是非やりたいと言っているんだからそうしようという,相互の無責任のようなおそれも反面であるんだなということを,今回,痛感したわけであります。
これまでは,そうは言いましても,事件は検察官が主であって,そして検察庁の組織で言うと,地方検察庁が中心である。その上に高等検察庁,最高検がそれぞれの立場で見ていくということでありましたので,主任検事からの情報,そして地検からの情報というのを基本にして高検がやり,最高検が必要なことをするということであったわけです。
しかし,このような事態になってみますと,例えば,大阪のような大地検の検事正が判断をするときに,もちろん今の制度だってできるんですけれども,自分も決定的な証拠についての具体的な情報が手元になければいけないな。そのためには,それをサポートする人がいなければいけないな。それから,高等検察庁の方も,やはり高検にそういうサポートをする人がいて,中身に踏み込んで十二分に把握して高検としてやるべきことをする。最高検もそういうことをするということでございます。ですので,これからのチェック体制についての最高検が出した方策といいますのは,今までと何が違うのかというふうにお感じになられるのは誠にごもっともであろうと思いますけれども,実は,我々の中では,そこの検察官が独任制官庁であるということと,同一体の原則であるということのバランスを,やや上級庁なり,上司が監督をする方向に動かすことになるかもしれない。しかし,それはそれでまた逆の方からの心配もあるということを意識しながら方策をやらなければいけないなと実は思っているところでございます。
○原田委員 再発防止の関係でお尋ねしたいのですが,二点ございまして,一点は,2月から可視化の関係でいろいろな事情を考えた上,試行されるという方針を出されていますが,2月といえばもうすぐなんですけれども,この席で,具体的にどういう範囲で,どういうことをお考えになっているかということが伺えるのかという点が一点です。
もう一点は,この前,佐藤委員のお尋ねもあったのですが,高検検事長が起訴・不起訴の権限を持って,逮捕は地検が判断をするというような御説明だったのかなと思うのですが,それはそれでいいのですか。
○小津次長検事 それでは,先に後者の点につきまして,私の理解は,重要な特捜事件について,検事長が指揮をいたしますけれども,地検あるいは地検の検事正が高検検事長からの指揮を受けて,あくまでも地検が起訴するということでございます。
○原田委員 指揮なのですね。そうすると,起訴・不起訴権限を検事長が持つというわけではないと。
○小津次長検事 ございません。それでは,何のためにこの指揮というのをつくるのかというと,そこは今,地検が基本的にやってきたものを,うん,そうか,分かったというチェックの仕方と,自分が,それでいいと言って明示的に指揮をするということは,少なくとも我々が考えますと,運用上相当違いが出てくるだろうという認識でございます。
○原田委員 そこは分かりました。では,最初の点。
○小津次長検事 それから,最初の点でございますけれども,いかなる範囲で録音・録画をするかということにつきましては,今,鋭意,最高検の中で検討中でございますので,本日は,この検証報告書に書いてある以上のことを申し上げる準備はできておりませんけれども,この特捜事件でどの部分をどのようにやれば試行ということで意味があることができるのかということを十分に検討して,できるだけ早くその方針を出したいと考えています。
○石田委員 関連して,さっきの指揮の問題。お答えはもうされているのかもしれませんが,この報告書には,「検事長の指揮事件として,高検において,証拠関係の十分な検討等を行うものとする」と,こういう方策が書かれておりますね。しかし,報告書の20ページには,この事件でも大阪高検においては,検事長らが主任検事に対して証拠の具体的内容や証拠上の疑問点を尋ねるなど具体的な検討が行われ,今後の捜査の方針や具体的な留意点に関する指導が行われたと書いてあります。それで,一体,防止策として掲げられた検事長の指揮事件というのは,内部におられると大分違うとおっしゃいましたが,具体的に,一体どこが違うのか。せいぜいここに書かれているのは,証拠関係を提出,あるいは問題点の報告を義務付けるというようなことが具体的な行動としては書かれていますが,それ以外に何か実質的な違いが本当にあるのかどうか。今までの決裁制度とか,いわゆる指導のやり方とか,そういうことも全く本質的には同じではないかとこの報告書を読んだときに思いましたが,その辺りいかがなんでしょうか。
○小津次長検事 ただ今の点に関しましては,本件で大阪高検の指導が誠に不十分であったということがありますので,高検がちゃんと見るというのは何だというように感じられるのはごもっともだと思いますが,まず,今度の内容といたしまして,高検検事長の指揮事件については最高検に報告が必ず上がり,最高検においても証拠関係を全部きちんと見る人間を置いて,それでやるというところは一つ大きく違うわけでございます。本質的に違うかどうかということについては,御批判は受け止めるということでございますが,実質的に我々がどうかというふうに考えますと,このスタッフを置いて,検事長が自分の名前で指揮をするということで,運用上これまでとかなり違ってくるのではないか。もちろんこれは仕組みの詳細はこれからつくるわけでありますし,正に運用にかかっているところは大きいと思っておりますので,それで今までとどんなことが違うのかという御指摘や御批判は十分に意識しながらこれから組み立ててまいりたいと思っております。
○石田委員 今までは,記録は上に上がっていなかったんですか,検討の際に。
○池上刑事部長 事務的に御説明を申し上げたいと思うんですが,検証の21ページの(注3)に書いておりましたが,決裁や報告についての現状を一応規定上のものを含めて記載してございます。すなわち,検察官が逮捕したり起訴・不起訴の処分をしたりするのは,独任制官庁として当該検察官が行うものでありますけれども,その庁の部内において,どこまで,例えば部長までなのか,次席までなのか,検事正までなのか,決裁を受けなさいという規定を設けております。本件のような特捜部の事件については,ここにも書いてありますが,捜査に着手する際,あるいは起訴・不起訴の処分をする際には,部長を通じて,次席検事を経て検事正の決裁を受けなさい。これは正式のものでして,検事正がいわば検察庁法上の指揮監督権を行使するという性質のきちんとしたものでございます。ところが,今回の事件で高検や最高検に報告が上がっているとか,あるいは会議が開かれて了承されたとか書いてありますが,これは特に規定があるものでもありませんし,例えば,検事長が責任を持ってそれを指揮したという部内的な制度にはなっていないわけであります。
事柄の重要性,事件の重要性に鑑みまして,あらかじめそういった事実上の報告が地検から高検へ,あるいは高検から最高検へなされるということが事実上行われていたわけでありますけれども,今後は正式に処分をする際には,検事正が決裁する前に意見を添えて,検事長の指揮を仰ぎ,検事長の側でもきちんと証拠を検討ないし部下に検討させて,責任を持って書面で検事正に対して訓令を出すというような制度で,その過程については適宜最高検にも報告がなされると,こういうような制度を考えていまして,すなわち,高検が今まで,いわば相談役的な存在としてのみ関与していたのを,実質的な指揮官,指揮監督者として権限を行使する形で責任を持って指揮を行う,こういう制度を提案しているところでございます。検察内部の実務も絡んでやや説明が分かりづらかったと思いますが。
○石田委員 印象としてはそれほど変わらないのではないかという印象を持つんですけれどもね。
○龍岡委員 なぜ,このような事件が起こったかということについて,当然,根源的な原因とか背景について,かなり注意深く調査をされたんだろうと思うんですが,この報告書自体を見ますと,非常にある面では分かりやすいし,それなりにそういうものかなというところまでは理解できるんですけれども,もっと根源的な問題があったんではないかという点の説明がほとんどないんですね。これが実は今後の問題で非常に大事なことではないか。恐らくかなりたくさんの検察官や検察事務官,関係者から事情を聞いておられるから,その問題も当然聞いておられるんではないかと,それからこのチームの中でもこういった問題について十分議論をされたんではないかと思うんですが,それが必ずしもこの報告書には出ていなくて,非常に整理された,まとまった形になっているような気がするんですね。その点はどうなんだろうか,もう少し詳しく議論がされたんだろうか,あるいはこの報告書に出ている程度の話であって,まとめたところでこれ以上のものにならないということだったのかどうか,その辺のことをお伺いしたいと思います。
○小津次長検事 この点は,少し先ほどの御説明と重なる点があるかもしれませんけれども,事実関係をきちんとした証拠で確定していくということに全勢力を注ぎまして,そして,そのような意味で確定された事実から直接的に見えてくる背景というのは,これこれこういうものであると言える限度内のことについて書かせていただいたということでございます。したがいまして,実は調査の過程で,その根源的なるものについてたくさん調査した結果があったのに書かなかったということではございません。もちろん調査をやっている者は,一体これが本当に更に深い意味でどういうことだったのかなということを考え,悩みしながらやったはずでございますけれども,それについては,少なくとも個々の者がいろいろ考えていても,それをこういう形で最高検の報告書ということでまとめられるようなレベルにまでみんなで議論をしてやったということではないわけでございます。
○龍岡委員 議論もされなかったということですか。
○小津次長検事 いろいろな話がこの過程で出たとは思いますけれども,今おっしゃられましたような根源的な問題が何かということについて,恐らくこの報告書を取りまとめるという作業の性質上,そういうようなところには至らなかったのではないかと私は理解しております。そして,そのことが大変大事であるということは,もちろん私も理解しております。
○高橋委員 今回の話の重要な部分というのは,ややもすると,前田主任検事の証拠改ざんという部分に集中しがちなんですが,私はそれとはちょっと切り離した,もっと本質的な問題が重要なのではないかと思っておりまして,それは,まず最初に一つ言えば,前田主任検事は,どうしてこれが本当にこういう構図で正しいと,要するに,Aさんが有罪であるというふうに確信するに至ったのか。あるいは,更に言えば,高検幹部も供述調書なんかを見て,単独犯行はあり得ないだろうと言っているわけですよね。この二重の誤った判断ですよね。さらには,もっと言いますと,証拠改ざんが分かって,それに対して,証拠改ざんはまずいではないかということは,たくさんの検事が指摘されていますよね。大阪で何人もの検事。それは大問題になっているんですが,にも関わらず,証拠改ざんは悪いけれども,それは必ずしもこの構図が根底から崩れるというわけではないという判断があったからこそ起訴を継続したわけですよね。
かなり複数の人間が,たくさんの段階で,皆この構図の正しさを疑わなかったと,最後まで,ということの方が,実は証拠の改ざんという一つの事件よりはるかに重要だというふうに思っているんですが,どうしてそんなふうに組織的に無能力状態になってしまったのかということについての検証に十分なっていないのではないのかということがございまして,私は幾つか思うんですけれども,どんな仮説をお持ちなのかなというふうにお聞きしたいんですが。一つは,そもそもこんな年月の経った,それも言ってみれば,こういうのって日々の仕事ですよね,厚生労働省の中では。そんなことを供述中心に証明しようという,そもそものアプローチ全体が無理なんだというふうな御判断があるのか。あるいは,やはり心証というんですかね,実際に取り調べられている本人たち,前田検事を始めとした御本人たちが話をしながら,どっちの人が本当のことを言っているのかという心証を直感的に得て,そこで仮説を形成する能力が相当落ちている,はっきり言って。そもそも取調べ能力そもそもが落ちているということが最大の問題ではないかと思われているのか。あるいは,私はもう一つすごく感じるのは,ひょっとしたら,前田主任検事は,最初,Aさんはシロかもしれないということも言っているわけですよね。それに対して,そんなことあり得ないだろうということを言われている。確か,一応その可能性もありますと。クロとは限らない,シロの可能性もありますということで最初報告を上げているようなことがこの中に書いてあったと思うんですが高検から,いや,単独はあり得ないだろうということを言われたという確か表現になっていたと思うんですけれども。
そうなってくると,問題なのは,そもそも一番心証を得やすい現場で働いている検事たちは,要するに判断する立場にない。ところが,その影響力を及ぼせるのは部長ないしそれ以上,高検の幹部のように現場で直接心証を得るようなことをやっていない人,あるいはもっと言えば,自分自身が捜査をしてくるという経験がなくなって上に上がってしばらくした人たち,世の中の流れの新しい,今がどうなっているかということが,正直言ってよく分かっていないような人たちに決定権があって,一番接している人たちに決定権がないという,そもそも決裁構造そのものが根本的に矛盾している,はっきり言って。
よくあることですけれども,例えば,医師の世界で言えば,病院長だって患者を診るわけで,直接患者を診なくなったら,もう医者としては指示を出せないし,指導もできないですよね。コンサルタントの世界も同じで,プロというのは,自分が直接接しないで直感を常に養っていない限りで,的確な指導ができなくなるのではないのか。まして世の中どんどん変化していきますから。そもそもそういう構造そのものに問題があったのかとか,私は幾つか仮説があると思うんですが,このみんながそろって無能力状態に陥った,どこに最大の問題があるというふうにお感じになっているんでしょうかという質問です。
○小津次長検事 御指摘に全部的確にお答えできないようにも思いますが,どうしてここまでこういう構造でずっといけるのだと,いろいろな人が,本人も含めて思ってしまったのかということについては,私,これまでよく使われ,批判されている言葉で言えば,それはやはり供述調書というものを信用し過ぎたということであると思います。あえて申し上げるまでもございませんが,いろいろな事件で,結局,人の供述というのは,どうしてもそれがないと解明できないわけでありますけれども,大変にデリケートな危ないものでございまして,そもそも人が何かを認識して,それを頭の中に入れる,記憶をする,そして,それをまた外に出してくるわけでございます。それぞれの過程で誤りが生じ得る。特に頭の中から出してくるというときに,それを取調べという形でやるというところに,また非常に難しいデリケートさがある。これをついつい我々は紙に書いた供述調書に書かれていることを前提にして議論をしてしまうというところに大きな問題があるんだろうというふうに,一つは意識しております。
それから,直感ということにつきましては,確かにおよそこんなことがあり得るのか,こんな話が本当なのかということについて,一つは,それが真実かどうかを見抜く能力,これは直感と言ってもいいかもしれませんが,これが非常に大事でありまして,それが劣化していたではないか,あるいは劣化しつつあるのではないかという点については,我々も非常に気を付けなければいけないんですが,ただ,あえて申し上げれば,この直感というのは非常に危ないところがありまして,これは絶対にそうだと思い込むところがまた非常に大きな誤りを生じる可能性があるという点もあろうかと思います。
それからもう一つは,少し違う切り口で,何かあるフィールドで発生した事象を解明しようとするときに,そのフィールド自体について十分な知識,理解があれば,直感力が多少鈍感でありましても,そう大きくは間違わないわけであります。それをやるためには,検察官がいろいろなフィールドについていろいろな専門知識を持つということと,それから,それだけで賄えるわけではありませんから,捜査をやる過程で重大なステップを踏むまでに,捜査としてこれから突入していくフィールドについて十二分な情報,知識,理解を持ってそういう共通のものとしていけば,かなり危険が軽減される。そして,ここは,我々の中でもそれはできるだけそうしなければいけないというふうに考えていたわけでありまして,そういう観点からしますと,そのフィールドについての基本的な理解が極めて不十分なままにこの捜査の流れの中で次のステップに進んでいったなというふうには感じております。
最後に,実際にこの決裁で上司がどれぐらい実務をということにつきましては,また機会があれば御説明させていただければと思いますが,決裁官というのは,普通の会社の上役よりは,必要があったら証拠を持ってこさせて,これはどうなっているんだとか,確かに直接に被疑者を取り調べることは滅多にありませんけれども,かなり捜査そのものにどっぷりつかってチェックをしているというのが,検察庁のチェックの特殊性かなというふうには今まで感じておりました。
○高橋委員 ただ,それは副部長クラスまでで,検事長とか高検の幹部ではそこまではやらないですよね。
○小津次長検事 これは事案によりまして,確かに検事長がどこまで詳細に見るかというのは別です。
○郷原委員 今のお答えは,先ほどの決裁をどうしていくのかということに関連するお話だと思うんです。証拠についての見方が問題だったから,高検がもっと証拠をよく見るんだという,そういう再発防止策の方向性ですよね。しかし,本来,主任検察官の判断の上に何重もの決裁を行うことの意味は,多様な見方をしていくことによって誤りに気が付くということではないかと思うんです。
そういう意味では,私はずっと前から,今日もお配りしている今年の6月に出した「日経ビジネス」の記事,去年4月末にも出していますけれども,そもそもこの郵便不正事件自体がそんなに報道されているような大経済犯罪ではなくて,実態というのは,要するに,ダイレクトメールと言っても,障害者団体の何かおかしげな郵便物で入ってくるものなんだから,広告効果は限定されている。利得といっても,8円で運んでもらうこと自体が,120円との差というほどの大きなものではなかったという見方を,私だけではなくて,A氏の弁護人である弁護士も,「季刊刑事弁護」というところを対談でしているぐらいで,要するに,経済実態からしたら,別の見方ができるではないか。そんなに大げさなものではない。だから,ひょっとしたら厚労省での不正な証明書というものも,みんなが考えているようなそんなに大変なことではなくて,逆に不正の証明書を作成したC氏が言っていたような,やっつけ仕事みたいな話の可能性もあるではないか。そういう観点から見てみたらどうかということを言う人が誰一人いなかった。むしろ上級庁の決裁というのは,そういう見方を指摘することに意味があるんであって,今回の検証結果のように証拠,証拠というところにこだわっていったら,上の方に証拠を見る義務を与えると,下の方が不十分になっていくし,結局,全体としていい方向にいかないと思うんです。やはり決裁をする立場の人が多様な見方をしないといけない。検察は,泥棒とか殺人とか伝統的な犯罪に関しては十分な経験をお持ちなんでしょうけれども,やはり世の中に開かれた見方をしていないというところに問題があるんではないかと思うんですけれども。ですから,再発防止策の方向性が果たして正しいのかというところにも関連してくるんですが,いかがでしょうか。
○小津次長検事 最後の点に限ってですが,郷原委員の御指摘の最後の部分については,私が先ほど,今度のようなやり方で主任検事,地検ではなくて,上が証拠を見てきちんとやるという方策を採るときに,大丈夫かと気を付けなければいけない一つのポイントであると私も思っております。これまでの決裁は,何ら証拠も見ていない,いい加減なものだったのかと言われますと,それはもちろんこういうことがあればそういう面もあるんですが,高検,最高検それぞれの立場で違う角度,あるいは広い視野で,本当にこの事件はどうなのかとか,もちろん他とのバランスというものも考えるわけでありますけれども,そういうものとして,これまで高検,最高検が機能してきたわけであります。ただ,こういうのを見てみますと,そのことを実際証拠も全く見ないで,結局,証拠を見なくてもいろいろ報告を聞いて,大体こんなことかなと思いながら,その広い視野と,自分で思っているものについて意見を言うと,それが誤ってしまうことがあるなというふうになるわけです。つまり,今度の最高検の方策を採る場合に,証拠をきちんと見るんだけれども,やはり高検,最高検は主任検事,地検と同じことを言うためにやるのではなくて,正にそこのところは,これまでの決裁が目指していたものをやるためのものだということが必要ではないかと私は感じております。
○宮崎委員 先ほどどなたかが御指摘されましたように,本件は,前田検事あるいは大坪検事の特異なものであるとか,大阪の特異なものであるとか,あるいはこういう証拠偽造が信じられないというようなものではなくて,もっと基本的な,あるいは構造的なものだという具合に考えているわけですね。
私は,今日,見解書も出しましたけれども,こういう検証報告書というのは今まで何回か出ているわけですね,志布志も氷見も足利も。いずれもその検証報告書は何となく共通しているわけですね。どうも客観的な証拠との整合性が足りなかった。ところが,足りないのに対して捜査当局の筋書きどおりの調書が膨大に作られている。どうも押し付けがあったようだ。ところが,そういう矛盾点や整合性についての十分な消極証拠ですか,アリバイについての十分な検証,検討がなされないまま捜査が継続して起訴しちゃった。だけど,有罪を裏付けるような証拠もあったから,起訴自体は不当ではなかったとか,そういうようなまとめになっているわけで,再発防止策として挙げられるのは,いずれも今後は捜査を適正にして,無理な取調べをなくして,それと,あと研修をやったり,そういう捜査心得とか,そういうものを発しましょうというようなことなんですけれども,私は,それでは再発は防止できないと思っています。そうではないということを,ここの出席した委員の方も大体もうお分かりのことではないかと思っています。
なぜこういうことができてきたのかということについてですけれども,それは私は非常に大きい存在というのか,共犯とも言えるのが裁判所だと,このように思っています。任意性や特信性を容易に認める裁判所の姿勢,あるいは細部の事実認定を,調書があると便利だなと,こういう裁判実務,そして自白するまで保釈しない裁判所の,いわゆる人質司法というものがあるんだろうと思います。そういうチェックが甘いという構造のもとで,それに甘えて検察が検証不可能な密室の取調べというもとで,周囲の期待に応えてきたという構造がやはり根幹だと,こういう具体に思っているわけでありまして,諸外国でもまれな密室,あるいは検証不可能な取調べの改革こそがいわゆる再発防止であり,検察改革の核心だと,このように考えているわけです。
今までも言い続けてきたわけですけれども,先ほど取調べの可視化について2月から実施する,あるいはそれについてまだ今検討中だと,こういうことですが,それに絡んで質問をさせていただきたいのは,一部の録画化を提示されているところでありますけれども,これの趣旨が,裁判所の公正な判断に資する立証方策の在り方を検討する必要から,特捜事件については,特に異なる捜査機関のチェック機能が働かない上,任意性などが争われた場合に,単一の捜査機関でやっているので,供述状況を立証する方策としてなかなか難しいところがある。だから,可視化導入を検討すると,こういうような並びで可視化導入が検討されてきているのですが,ところが,今回の報告書を読むと,そういうように裁判所の公正な判断に資するためということが問題になったのかというと,それはないと思うんです。今回の事件で裁判所の判断がどうもおかしいという事実があり,公正な判断に資するために可視化を導入しましょうというなら分かるんだけれども,その点は何も書いていなくて,客観的事実と違う捜査調書が多分膨大にできていますねという,どうも押し付けがあったみたいですねと,こういうことだけが書いてあるのに,裁判所の公正な判断に資するためにとか,あるいは争われた場合の検察官の任意性立証に資するためにやる必要があるんだというんだけど,その前提となる事実が報告書には書かれていないように思うわけです。どうも報告書を読んでよく分からないのです。むしろ私が思うに,今回のように,あるいは数多くの検証報告書が出されているように,それらによっても改善されなかった,そういう密室で検証不可能な捜査を検証できるようにするというところに最大の眼目がなければならないと思うわけですけれども,今回の可視化を導入するための趣旨説明が一体どういう事実からこういう可視化導入の提言になってきたのかということについて御説明いただければと思っています。
○小津次長検事 御指摘の点は,これから実際にどのような範囲内で,どういうやり方でやるかという際に,更に部内でも議論はさせていただきたいと思いますけれども,例えば,裁判員裁判におきまして一部録音・録画しております。その際に,裁判員裁判対象事件についてだけやるということもございましたので,裁判員の方に任意性等について分かりやすく立証するということがかなり強調されて書かれていると思います。そしてこの報告書,任意性と信用性,両方実はこれには書いてあるわけでありますけれども,少し違うことから言わせていただきますが,改めて考えてみますと,実はこの任意性がないと証拠として採ってもらえないという,我々にとって当たり前のことは,もちろんこれによって取調べをする側が任意性を否定されるような取調べをしないという抑制的な効果をこれまで果たしてきたと思います,少なくとも一定限度果たしてきたと思います。
我々が,これからまた考えていかなければいけませんのは,法廷での争いが任意性があるかないかという争いになりますので,検察としては,任意性があるということを立証できるかどうかということに非常に精力を注ぐわけでありますが,もちろん最も大事なことは,少なくとも供述したとされている人が本当にそのように供述したかどうかということ,更に言えば,供述した内容が本当かどうかということであります。これまで,検察が,法廷で当事者として任意性があるかどうかということの争いをずっとやってきたがために,任意性は否定されなくても,実はもっと大事なところが本当かどうかが大事だということが,ややもするとおろそかになっていたのではないかと思うわけであります。
このことを申し上げましたのは,録音・録画を一部であってもやるということは,いろいろな効果があると思います。他面で,ひょっとしたら,特捜でやると,いろいろな不都合が出てくるかもしれないと検察部内で思っている面もあると思いますので,やることによって,任意性という観点からいい効果があると思いますし,任意性が分かりやすく立証できるということは,どのように取調べされたかということがその部分明らかになるということでもありますし,そういうことをやることによって,任意性さえあればいいということではなくて,本当にその人がそのようにしゃべったかどうかということがもっとはっきりし,更に言えば,一番大事なところにもいい影響があるかどうかという辺りのところを考えてやっていくわけであります。
ということで,この検証報告書に書かれている表現が,検察の都合で任意性が立証できさえすればいいので,その方法を一つまた検察が手に入れると,もし,印象を持った方がいるといたしますと,我々としては決してそういうことを主眼としてやろうとしているわけではないということをあえて申し上げさせていただきたいと思います。
○宮崎委員 私の方は別に任意性だけ取ればいいという形で検察が考えているという趣旨で申し上げているのではなくて,ここの報告書で,突然こういう形で,この目的のために可視化を一部導入すると言われているのは,ちょっとおかしいのではないですかということを言いたかったわけです。
○小津次長検事 一言だけ,その点だけごく簡潔に申しますと,これは,共犯者とされた当時の係長さんの被疑者として拘束されているときの調書が刑訴法321条で請求されて,それの要件がないというように裁判所が判断されましたので,少なくともその限りにおいては,裁判所の判断がおかしいという意味ではなくて,任意性という言葉で表現しておりますけれども,それに非常に近いものが本件で問題になったという意識はございます。
○宮崎委員 裁判員裁判で今一部録画が行われていますけれども,今回それに当てはめますと,Cさんもほとんどの人が自白をしていたわけでありまして,自白場面だけを録画化するということは,今回で言えばえん罪の上塗り効果になったのではないかとも思いますので,その点も一部録画化の範囲を検討するときは,十分御検討していただきたいと思っています。
○井上委員 今までの質疑の中で,最高検でお考えの取調べの録音・録画の試行は2月から実施されることを前提とするような発言もあったのですが,正確にいうと報告書には,「2月ころまでに試行方針を策定した上,その後速やかに取調べの録音・録画の試行を開始する」と書かれていますね。その「2月ころまで」という意味なのですけれども,「2月ころ」というのは幅のある表現なので,この試行方針が出てくるのはいつ頃になるのでしょうか。2月中ということなのか,2月までということなのか,どちらなのですか。また,「試行」ということの意味なのですけれども,これは文字どおりにいうと,試しにやってみるということですよね。そうすると,今度出てくる試行方針も,まず,やってみて,その結果を見てまた検討し,次のステップに進むこともあるという含みなのか。その二点をお伺いしたいと思います。
それとついでですが,これは最高検の方にお伺いすることではないのですが,先日一部の新聞報道で,取調べの録音・録画が閣法として提出される方針が決まったというようなことが書かれていたのですけれども,そういう事実があったのかどうか。一般の方々も関心があることだと思いますので,事務当局として分かる範囲で,後で結構なのですけれども,確認していただきたいと思います。
○小津次長検事 2月頃という含みを持たせていただきまして,文字面だけ申しますと,2月頃ですから,3月に入っても2月頃だということになるわけでありますけれども,それはできるだけ早くやろうと。しかし,極めて重要な問題なので,非常に濃密に議論を開始しておりますので,2月中には方針は出したいということでやっております。
さて,その場合に実際に始まるのが2月中なのかどうかというと,これが3月にずれ込むかどうかというところはあろうかと思いますが,いずれにしても,できるだけ早くやりたいという気持ちでございます。
○千葉座長 井上委員からの,政府としてというのは,ちょっとこれは。
○井上委員 それは最高検にお答えいただくことではないので,事務局の方で可能な範囲でしかるべく確認してほしいという趣旨で発言しました。「試行」の意味は,先ほどのような理解でよろしいのですね。
○小津次長検事 試行は試みでありますから,もちろん方針をやって,これも論理的に言えばやはりまずいから,全部やめてしまおうということから,もう少しやろうということも含んでいる言葉であります。そういう意味で試行でございます。
○佐藤委員 私の方は,質問というよりは,感想と,せっかく最高検がお見えなので,この際,これからの検討のためにも指摘をしておきたいと思います。
まず,この報告書ですけれども,皆さん御指摘のように,私も必ずしも十分に行われた調査の報告書だとは思いません。特に,くだんの方たちが特異な人物であったとして,また特異な判断をし,特異な捜査をし,特異な公訴継続を行ったということだったとして,なぜ,それが許容されたのかということについて,つまびらかになっていないということが一番の問題だなと思います。そういう意味で不十分だとは思いますけれども,しかし,これを明らかにするということは非常に難しいことで,だからこそ,この会議が設置されたのではないかと,私はそんな具合に理解します。短期間で根源的な原因についての調査をするということは,そう言うほど簡単なことではないと思うので,さればといって,推測を書くわけにもいかないでしょうから,こういう形になったというように理解をすることができます。
ただ,だからといって議論の前提になる部分ですので,それで済ますわけにはまいりませんけれども,そこのところはある程度この会議においても推論できるのではないか,しなければいけないんではないかと思います。それは,恐らく当たらずとも遠からずの議論ができるというテーマだと思います。したがって,これから更に調査を継続して検証を継続して,それを待ってというようなことは,愚の骨頂だなと思いますので,ある意味,見切りをするということは是非やっていかなければいけないし,その判断を座長にお願いいたしたいと存ずる次第です。
指摘の一点は,先ほど原田委員あるいは石田委員からも重ねてお尋ねがありましたけれども,高検の関与について書いておりますけれども,私は,地検特捜部が行う捜査及び公訴に関する地検と高検,検事正と検事長との関わりについての提言は極めて曖昧だし,中途半端だなと思います。制度や仕組みについて中途半端であり,曖昧にすることは,いずれ腐臭を放つ。すなわち,問題を後年引き起こす原因を作ると思います。この部分は,是非明確にした形で作り上げていかないと,せっかくの検証を踏まえた対処策としてはマイナスを生みかねないと思いました。
その際,併せて御検討いただきたいんですけれども,公訴官であるとか,あるいは公益の代表者としての検察官,これは確かに独任官として判断をし,行動しなければならない。その独任官である一人の検察官がした結果が国としての判断であり結果であるという,そういう意味において大変重要で重い責任を持っていると思いますけれども,しかし,捜査に関しましては,果たして独任官と検察官同一体の原則という調和を図らなければならない性格のものなのか。検事正と検事長,地検と高検との先ほど申し上げている部分についての役割分担,任務の明確性というものを考えるに当たって,今申し上げた根本的な部分について考えていただく必要があるんではないか。私は捜査に関しては,必ずしもその二つの原則の調和を図るという必要性はないのではないかと思えてしようがありません。そこのところに上級と,あるいは上司との間に,決裁という形で,あるいは報告という形でなされる捜査に関して,あるいは公訴に関しての判断がもたれ合っている原因の一つではないかと推測しますので,是非,それを検討した上で御判断があってしかるべきかなと思いました。
○小津次長検事 承りました。
○諸石委員 私が申し上げたいのも,感想といいますか意見的なものでございます。
一つには,この最高検のやられた調査,これの目的とか,それと,この検討会議との関係ということでございますが,最高検がおやりになったのは,現実に起こった一連の事件について,それがなぜ起こったかということを中心に据えて,それとの関連においてもう少し対象を広げておるということ。かつ,その中心の事件が,現在裁判中であるということは,事実が確定していないということと守秘といいますか,どこまで事実を明らかにしていいのか,そういう制約がある。そういう中で,この最高検のおやりになった調査というのは限界があるというか,少なくとも我々が検討する場合に,全面的にこれを下敷きにしてできるものではないというのは,ある意味では当たり前でございまして,今の佐藤委員御指摘に,私も全く賛成でございまして,この最高検の調査はこれとして,それに不十分な点があっても,だからといってそれを再度どうしてくれと,そういう話ではないんだろう。これは一つの材料として,この検討会議がまた違う観点から考えていく。その有力な材料の一つであるという受け取り方をしておりますが,それでよろしいのかどうか。
二点目に,不祥事が確かにありました。証拠隠滅というあってはならないと言われる行為があった。そうすると,それ自体を改善することは,そんな行為が二度と起こらない,それを目的とした制度改正をやろうとしているのかどうか。つまり,戦争が二度と起こらないとか,犯罪が二度と起こらないとか,証拠隠滅が二度と起こらない,スローガンとして,目標としてはそれで結構なんですが,人間の世界の制度の在り方の問題として,そういう証拠隠滅が二度と起こらないことが保障できる制度をつくろうと思ったら,一体どういうことになるのか,それを考えたら,同じことを企業のコンプライアンスの例で申しますと,企業の内部統制だとかコンプライアンスだというのは,企業不祥事の発生する確率を低くすることだ,二度と起こらないことではなくて,そういうことが発生する確率を下げることだということがアメリカのそういう制度の大本のあれに明示されております。我々がこれから制度を変えて,検察の在り方も改善していきたいというときに,不祥事が二度と起こらないとか,証拠隠滅が二度と起こらないというのは,もちろんそうありたいわけなんですが,具体的にはそういうことが起こりにくくする,そういうことだということを間違えてやりますと,重装備になるといいますか,非現実的な対策を追い求めることになるだろうと思います。
三点目に,先ほどからの検察同一体の原則と独任官庁との話,佐藤委員のおっしゃった,捜査においては独任制ということではなくて,一体の方が重視されるべきではないか。これは誠に傾聴すべき御意見だと思いますが,先ほどからの御説明なり最高検の報告を見ますと,個別事件について検事正,更には高検,更に最高検が個別事件について証拠を見てとか,なるべく深く関与して誤りがないようにする。これをやりますと,それを起訴までにやろうと思ったら,限られた時間で一体どうするんだと思うと,ちょっと見当がつかない。
その表現が古くて申し訳ありませんが,海軍の戦いで軍令部総長の役割と連合艦隊司令長官の役割と艦長の役割と砲手長の役割とそれぞれ違うわけでありまして,戦争に勝とうという目的であることであっても,砲手長の狙いが正しいかどうかを連合艦隊司令長官がチェックするようなことをやっていたら,到底間に合わないというのは当然でありまして,やはり上級庁がチェックをするのは,チェックする視点が違う,やり方も違う,そういう中でどうも個別の証拠を精査するといいますか,個別事件について深入りするというのが最高検の方向の中から出てくるんではないかということを危惧しております。もしそうでなければ結構なんですが,この最高検の調査報告が一つのオーソライズを得てやっていくとなりますと,そこのところでの第一線の担当検事と検事長,あるいは検事総長の役割というのは全く違うはずでありまして,何か同じことをよってたかってやるようなことに間違ってもならないようにしていただきたい。
以上,感想で,いかがお考えか,もし伺えたらと思います。
○小津次長検事 地検,高検,最高検の役割,今度の最高検が出した方策の一つについて,留意すべき点についての御指摘,特に我々としても十分に意識をしてやってまいりたいと思っております。ただ,私個人としても,そこは十分に意識しながらやらなければいけないと思いつつ,この方策が全く意味がないものではないなと思いますのは,先ほど申し上げましたけれども,違う観点で判断をするときに,これまでのやり方でも,必要な正確な情報が上がってきているということを前提にして広い視野から判断をしていたはずでありますけれども,正に今回はこれが上がってきていなかったので,みんなが間違えたという面がありますので,それが必ず上まで必要な範囲内で,もちろん検事長が全部見るわけではないんですけれども,エッセンスが正しいものが上がってきているということを何かチェックする仕組みというのが必要かなというのがねらいと理解しています。
○原田委員 ちょっと宮崎委員の先ほどの御発言について一言申し上げたいのですが,先ほど裁判所も共犯だとおっしゃって,それは評価の問題ですし,私自身はとてもいろいろ反論したいところですが,そういう場でもございません。それは評価の問題ですから結構だと思うのですけれども,ただ,本件は明らかに横田コートという横田裁判長が多くの調書について特信情況,そういうものについて適切な判断をされたと思うのです。そのことが今この事件の発端になっている。裁判所がその部分では非常に適切な判断をされたことから始まったということだけは,皆さんもちろんよくお分かりだと思うのですけれども,その部分では決して共犯ではないということだけ申し上げたいと思います。
○宮崎委員 別段この件と言っているわけではなくて,地検特捜部が暴走しているという原因には,こういう構造的なものがあるということを申し上げたわけです。
○原田委員 その点には反論したいのですけど,ここはそういう場ではありませんので,控えます。
○千葉座長 それでは,大分皆さんから御意見,御質問いただきましたが,あと前段の公開の中で御質問できる部分でございますれば,どのくらいおいででしょうか。
では,江川さん,郷原さん,それから後藤さん。では,宮崎委員からいきましょうか。できるだけ簡潔に。御意見もまたいただけるような機会もあると思いますので,今,御質問しておくべきところを中心に手短にお願いできればと思います。
○宮崎委員 それでは,可視化について,その範囲を現在検討中だとおっしゃっておられたのですが,読売新聞の先ほどの記事とも関連して,全て録画をすると200万件録画しなきゃならないんだというような新聞記事が出ておりましたけれども,私としては,200万件だとかそういうことについて録画をすることを考えているわけではありません。やはり録画というのは最初から最後まで,一部ではだめだということを申し上げたいわけで,対象事件の範囲については大幅に限定する。裁判員裁判,あるいは少年など,いわゆる供述弱者というのでしょうか,そういう供述誘導に乗りやすい方とか,あるいは無罪を争っているという事件に大幅に限定してでも構わないが,最初から最後まで録らないとえん罪防止にならないんだということを,先ほどの読売新聞と関連して御意見だけ申し上げたいと思います。もちろんそのとおりとおっしゃっていただければ有り難いですけれども。
○江川委員 先ほど佐藤さんが,根源的な問題なのは推論できるので,これ以上の事実は掘り下げる必要はないというような趣旨のことをおっしゃったかと思うんですが,佐藤さんの場合は警察にずっと長くいらして,お仕事の上で組織的には,あるいはメンタリティの点でも検察と極めて近い立場にいらっしゃるので推論ができるのであって,私のような一般ピープルはさっぱり推論ができない,あるいは推論すると間違う可能性もあるので,やはりここは事実をきちっと明確にするというところから出発しなければならないと思います。まして,この報告書などは,専門家向けではなくて,一般の人たちにも向けてということですし,検察の在り方を検討するに当たっては,国民の信頼を回復するということが大事なテーマですので,一般の人たちがちゃんと分かるような事実を認定して,それに基づいての議論ということが必要になってくるんだと思います。
この報告書を読んだときに,非常に薄っぺらい感じがしたのは,やはり一人の人間がこういう行動をするのはどういうことがあったのかという,そこの経緯がほとんど分からないんです。先ほど龍岡先生もおっしゃったように,非常にすっきりして分かりやすい。ある意味で分かりやす過ぎて,検察というところは,どうしてもストーリーを作りたがるというか,それがはっきりしないと仕事が終わった気にならないのかなという感じがしましたけれども,前田さんの件については非公開の部分が多いので後で伺いますけれども,例えば,これ大坪さんのキャラクターの問題が随分出てきますが,ネガティブな評価がとても多いけれども,これは大体何人から出てきているのか。別の顔を,あるいは別の観点から大坪さんを語った人はいなかったんだろうか,そういうことをまず伺いたいのが一点と,あるいは前任者のときは捜査会議をやっていたということですが,捜査会議をやらなかったのは本当に大坪さんだけなのかと,検察庁中にですね。例えば,枚方市の事件や名古屋市の事件なんかでも,ちゃんと捜査会議をやっているような形跡というのは外からだと見えないんですけれども,どうなのか。やはりこういういろんな疑問があるということは,どうしても検察内部の方だけでやったからだと思うんです。今回,アドバイザーという形で第三者を介在させたというのは非常に画期的なことだとは思うんですが,それは出来上がったものをどう整理するかというところでの介在であって,先ほどの小津さんの話だと,根源的な問いとかそういうのを積極的にしていないということだから,つまり材料がない。材料を集める段階で外部の人間の目を入れる必要があるんではないか。できれば,このメンバーの中から誰かちゃんとやりたいという人がいたら,ちゃんとその人たちを外部の目を入れてもう一度必要なところを問い直すということをやる気はないのか。これだけではなくて,ほかの事件についてもいろいろな検証が必要だと思われる事件があるのですけれども,それについてちゃんと協力してやりましょう,一緒にやっていきましょうというお気持ちがあるのかどうかということを確認したいと思います。
○千葉座長 では,先に質問を出していただきましょう。郷原委員。
○郷原委員 この報告書の中で,どうしてもよく分からない点がありまして,64ページ(公表版61ページ)なんですが,要するに,前回印刷日時というのが明らかになったので,それによって印刷した時期が特定されたと書いてあるんですね。ということは,一つ重要なことが分かったわけですね。最終的にAさんに対して有罪の論告をしている。そのときのストーリーは,1週間後に印刷したというストーリーになっていたけど,うそだったということが分かったわけです。これは大変なことだと思うんですよ。それが,そういう方法は捜査及び公判に従事した検察官は当時誰も把握していなかったと書いてあるんですが,それがそんなに難しいことなのか。ファイル管理ソフトで証拠を改ざんするような前田検事に,この前回印刷日時というのが分からなかったというのが,その理由が,これを見たところで全然分からないんです。
一方で,その前のページに,C氏は一貫して,後で印刷したことはないと言っているわけですね。ということは,証拠上は明らかにそのまま印刷しているから,だから,この検察ストーリーは,このフロッピーデータによって完全に崩れているわけですよ。そこをちゃんと全部調べれば。そのことが非常に軽く書かれているような気がするんです。要するに,この有罪論告が,結局うそだったということになったら,これは最高検としても大変な問題だと思うんですよ。了解しているわけですから。これは最近の問題ですから。そういう意味でも,私はまずこの点は質問なんですけれども,もう一つ,それと同時に,最高検としての検証が本当に検証の主体として適切だったのかということについて疑問を持たざるを得ないと思うんです。その点を教えていただきたいんですけど。
○小津次長検事 その他のことと併せてお答えいたします。
○後藤委員 私は,取調べのときに何があったかということがやはり重要だと思いますので,先ほどの続きになりますけれども,もう一つ具体的な点を確かめさせていただきたいと思います。G部長の取調べは,P7検事がされた。これはこの検証報告からはっきり分からないと思いますけれども,ほかの文献から見るとそうですね。そのときに,I議員との電話の交信の記録があると言われたというふうにGさんは法廷で証言していますけれども,裁判所の事実認定では,その事実は認められないという趣旨ですね。この点についてはどうですか,この検証の結論としては,P7検事の側からGさんとI議員の電話があっただろうと言ったのか,さらに,その交信記録があると検事の側から取調べのときに言ったかどうか,それは結局分からないということでしょうか,それとも言っていないという判断でしょうか。
○但木委員 私は,さっき宮崎委員が言ったように,この事件で可視化の問題だというのは,本当はずれているなと本当は思っています。この事件はもっと基礎的な捜査ができていないという,つまり虚偽公文書の作成罪の場合に,誰だってやるのは,どういう道具を用いて,いつ,どういう印刷をして,判をどう押したか。実はそれは,一番捜査の出発点というか,そこがなかったら捜査なんかないんですよ。ところが,一体どこからこの紙が出てきたのかというのは,全然どこからも出てこない。だから,足のないお化けみたいな捜査なんですね。
二番目に,Aさんという人をちゃんと調べていたのかと。Aさんというのは,どういう経歴で,今どういう活躍をしている人で,どういうステータスの人だ。この人は局長になる人でしょう。その人が,資料も取り寄せないで,自分の名前でそんな虚偽公文書を出しますか。僕は,そこには検察官が国家公務員に対してちゃんとした尊敬の念を持っていない。そういう事件の見立てをするということが,やはり検察として思い上がっているところがあるんではないかと思うんです。
それから,第三点は,例えば,障害者支援の法案のためにすごい忙しかったという調書に全部なってしまったわけです。こんなの裏を取れば,そのときにどういうふうにしていたかすぐ分かる話です。それの裏も取っていないんです。このうちで,本当に決裁の中で分からなかったんですよというだけで本当に済むのかという問題があると思うんです。やはりその底には,検事調書で話が全部合っていればいいんだと思っているんではないか。それはとんでもないことなんですね。やはり人間社会の普通の常識を持って物を見,それから構成要件の一番基本的なところを決して見逃さずになんて当たり前の話ですよ。それができていないということが,それも大阪の特捜部がやったということは大きいですよね。それは一人ではない,集団でそうなんですから。
それは東には一応関係ないと書いてあるんだけど,その危険は実は東にだってあるんですよ。私はそういう乱暴なことが何で行われたかは,もうちょっとちゃんと調べてもらいたいと思っているんです。そういう乱暴なことが行われたのは,もしかすると,現在の中央官庁の局長をターゲットにできるということに全てが解消されてしまったんではないか。冷静に証拠と法というので判断していないところがあるんではないか。そういう意味で,この検証は,やはりその検証自体に少し問題があるんですよと,つまりこういう供述,こういう供述,こういう供述があることからすれば,こういうふうに判断したのもやむを得ない面があったというのが何回も出てくるんだけれども,まず誰がどうやって原稿を作り,印刷したか,虚偽公文書作成の一番基本のところがされていないような事件で,やむを得なかったと本当に言えるのかと,僕はそういう意味では,この事件は本当によく自分たちでいろいろな我々の欠陥があるんだよねということを認識しないと,新しい検察官をどういうふうにつくっていくかというエネルギーが生まれてこない。大事なことは,やはりそういうきちっとした反省というのが大事だと思うんです。私は,検察官調書による立証に頼っていくという刑事裁判というものが本当にいいかどうかという根本問題まで考えていく必要がある。私は,そう思っておりまして,だから,これはお聞きするというよりは,もう一度検証の中で足りなかった部分について,是非最高検の中で再検討をしていただきたいなというふうに思います。
○千葉座長 それでは,今幾つかの質問事項,それから御提言も含まれていたと思いますが,お願いいたします。
○小津次長検事 最初に,私から答えさせていただく部分について申し上げますと,最後の但木委員の御指摘につきましては,我々としても,この検証結果をスタートにして,冒頭私が申し上げた,また,ただ今但木委員がおっしゃられたことも含めて,どうしてこういうことになってきて,それが検察全体としてどうだったのかということについては,是非議論を深めていきたいと強く思っているところでありますし,また,どうしてそういうことまで気が付かないでやってしまったのか,逆に言うと,みんなの目が曇ったのかといえば,一つは,誰々をターゲットにしたという意識がどこまで強かったかは,ちょっと私は分かりませんけれども,供述調書があったということが間違いなくそうであったわけでありまして,我々サイドからいたしますと,事実ではない供述調書があることの恐ろしさといいますか,これが被疑者・被告人だけではなくて,検察をいかに誤らせ,検察をいかに傷つけられるかということを痛切に感じさせられた事件ではないかなと思っているわけであります。
G部長のことは,また後ほど池上刑事部長からお話しいたしますが,それから,印刷の問題についても池上刑事部長から申し上げます。また,今後いろいろなことについて,更に調べていかなければいけない場合に,最高検としてどのように協力していくのかということにつきましては,また座長の方からいろいろな御指示をいただければ,どのように協力させていただくかということになろうかと思いますが,まずは最高検としては,御議論いただいて,今申し上げましたような議論を深めながら,まずやるぞといったことの実施に全力を上げつつ,御報告をさせていただきたいと思っているところでございます。
○池上刑事部長 実務の関係で何点か御報告申し上げますが,まず,G部長がA氏の関与を供述した経緯等についてでございますけれども,5月29日に初めておいでいただいて,P7検事が取調べに当たったわけですけれども,その段階で,I議員から依頼を受けてA氏に対して,本件公的証明書の発行を指示したというお話があり,翌日,これも公判廷で明らかになっていますが,内閣総理大臣元秘書官の方に相談したら,正直に話した方がいいと言われたということで,A氏から報告を受け,平成16年6月の上旬,I議員に対して電話で報告したという供述が得られたという形になっています。これについては,客観的事実と反しているような面もあって,我々検証チームもいろいろP7検事に聴取をしたり,記録を確認したりしたところでありますけれども,特にG部長が,その検察官調書は検事の方で押し付けてきたというか,それに従って話をしたんだということの理由として挙げているのが,検事から取調べの際,「あなたとI議員との間で電話した際には交信記録がある。だから,電話したのは間違いないんだ。しゃべりなさい。」と言われたという趣旨の主張をしております。ただ,私どもの検証過程でも,それをうかがわせるような当時の記録等はありませんでしたし,A氏の公判でもいろいろやりとりがあった末には,結局,交信記録があると虚偽の事実を検事が述べて供述を迫ったというような事実はあったとまでは認められないという判断が示されています。我々の調査も,力不足もあったのかもしれませんけれども,そこまであったとは認められない。ただ,結局において,G部長の供述調書は,ゴルフ場における2月25日のアリバイとかその他から見て信用性が欠けるというのは間違いないなという判断をしたところでございます。
それから,フロッピーディスクのタイムスタンプの問題,これは私ども,この検証にとりかかる際,あるいはその前に,論告が済んだ後,この事件を,改めて我々最高検も含めて見直しは当然しているわけです。5月には,証拠決定の後,何でタイムスタンプ問題がこれまで報告なかったのかということについて調査を命じていますし,その報告を受けていました。
その段階から疑問に思っていたのは,C係長の6月7日付けの供述調書で,郷原委員がおっしゃったとおり,6月に入ってからバックデートの公的証明書を作ってくれとA氏に言われた。言われてからその日の晩にデータを作って,深夜その場で印刷して,それで保存をして,印刷した紙については翌朝早く出てきて公印を押して,そしてタイミングを見てA氏に渡した,こういう調書になっています。
ただ,少なくとも論告が終わった時点から我々じっくり見たんですけれども,6月29日付けの検察事務官作成の報告書があって,いやいや,タイムスタンプによれば,本件データがコピーによって作られて,作成されたのは6月1日の午前1時14分だ。上書き保存されたのは6月1日の午前1時20分過ぎだ。これ全然合ってないだろうということでいろいろやりとりをしたんですが,ここにも書いておりましたけれども,結局,D元会長の供述その他が一致していると。供述中心の証拠構造を揺るがせるものではない。例えば,作り置きその他,C係長はそう言っていないけれども,そういうことがあったかもしれないけれども,証拠構造は全体的に揺らいでいないというのが当時の大阪地検の公判部等の見解でありました。
今回の調査の結果,今回の前田さんの事件の捜査の際,C係長の弁護士さんから,還付されていたフロッピーのコピーをちょうだいしまして,原本との同一性を確認した上,更に分析したところ,これは一太郎文書でございまして,容易に最終印刷日時というのが分かるということがありまして,私どものレベルでも,開けてみましたところ,その最終印刷日時が6月1日午前1時19分だと分かった。これは,全然崩れているなというふうには思ったところですし,現在でも基本的には,このフロッピーのタイムスタンプが正しいということであれば,Cさんの6月7日の調書は全く信用できないものであるということは認定しています。ただ,理論的には,6月1日午前1時19分に印刷した後,午前1時20分過ぎに上書き保存されていますけれども,例えば,それから1週間後に,印刷をして,その上で上書き保存しないときは,これは残らないということもあるので,必ずしも断定はできないというような証拠関係にありますものですから,苦渋の書き方なんですが,注のところでその趣旨を明らかにしたというのが検証のいきさつでありまして,我々の心証は,郷原先生と同一なんですけれども,そういう可能性も証拠上は残るということでそういう書き方をしたものでございます。
○郷原委員 そうだとすると,前田検事が捜査段階でそのことに気が付かなかった。フロッピーは持っているわけですよね。目の前で見られるわけですよ。それがどうしても理解できないんですよ。これだけソフトを使いこなす前田検事が,なぜ,こんなことが分からなかったかという追及が行われたのかどうか。
○千葉座長 ちょっと公開にふさわしくないかもしれませんので,後ほどまたお尋ねいただければいいかと思います。
○江川委員 大坪さんの件についての評価は。ネガティブな,ここに書かれている以外の評価はなかったのかという。
○小津次長検事 例えば大坪さんについてということですね。これは,ここには十分には書いていないと思いますし,あるいはネガティブなことしか書いていないかもしれませんけれども,それは大阪地検の特捜部長になったわけでありますから,この人は何らかの意味で大阪地検の特捜部長にふさわしいという判断がなされたわけであります。そのことも含めて,人事の在り方というところで最高検としても非常に強い問題意識を持ってこれからやっていかなければいけないなと思っておりますが,具体的に紙に残るような形で,大坪さんはこんなにいい面があったんだというふうに,だから特捜部長にするんだということが書いてあるようなものがあるというわけではございません。
○江川委員 つまり異論は全部封じ込めちゃうような感じのことが書いてあるではないですか,ここに。そういう以外の評価はないんですか。
○小津次長検事 ですから,そういうネガティブな面があるということが,特に今回非常にはっきりと分かったということですし,こういうことがありますと,やはりあの人は前からそういう人だったんだという話は出てくる。しかし,他方で,繰り返しになりますが,大阪地検特捜部長にしたわけでありますから,大阪地検の特捜部長としてふさわしい能力を持った人だという評価があったことは当然であると私も思っております。
○江川委員 ではなくて,そちらの膨大な調査資料の中にそういうものが含まれていたかどうかという質問です。というか,聞いていないのかということ。
○小津次長検事 もちろん個人の感想的なものやら,周りの本当にこの調査対象者と言ってはいけないような人たちがこう言っていたというレベルのものはございますけれども,ここに特記,つまり調査の結果明らかになったこととして特記しなければいけないようなことはございませんでした。
○江川委員 捜査会議をやらないのは,大坪さんだけなんですか。
○池上刑事部長 私どもの調査結果だと,前任の部長,前々任の部長,あるいは現在の部長等の場合はそういうこともやっていますし,あるいは副部長等も入れていろいろ意見を聞きながら捜査を進めているというのが調査結果でございます。
○江川委員 大坪さんだけだということですね,その調査で分かった中では。
○千葉座長 皆さんから御質問を出していただきました。また休憩をした後に非公開でお聞きしなければならないことにつきましてはお尋ねをさせていただきたいと思いますが,実は,今日御欠席でございます嶌委員から,一点御質問がペーパーで届けられておりますので,私の方からこの質問事項を読み上げさせていただきまして,お考え方があればお答えいただきたいと思います。
「最高検の検証結果報告書は,大阪の事件にとらわれ過ぎているように思う。近似の国民の検察に対する不安,不信は,社会の変化に伴う企業,官庁等の在り方の変化や,国際的に共有される新たな価値観などを背景として,より全般的な検察の在り方に対するものであるように思う。最高検の検証も,このような観点から,検察全体の在り方に関して行われるべきであり,また,検証の中で,21世紀における検察の在り方について検察憲章のようなものを定めることも考えられたのではないかと思うが,最高検としてはこのような意見についてどのように考えるか。」という質問でございます。そのまま読ませていただきましたので,何かお考え方などございますればお願いをしたいと思います。
○小津次長検事 嶌委員,御指摘のこの検証結果報告書についての御指摘につきましては,先ほど申し上げましたような,我々としての検証のやり方や書き方等の基本的な性格から御指摘のような点にまで十分に及んでいないというのは御指摘のとおりであると思いますので,我々としてさらにその点も含めて議論を深めていかなければいけないと思っております。
検察憲章ということでありますが,まず我々として,検察官としての在り方についての何か指針のようなものは作りたいという作業はしておりますけれども,これからの検察がどのようなことをやっていかなければいけないのかという大目標のようなことについて今作業を予定しているわけではございません。もちろん,そのときどきで検察は今後こういうことを中心にやっていかなければいけないということは公言しているわけでありますけれども,それが果たして憲章という形にまとめられるものなのかどうかということにつきましては,やや事件との関係では難しい面もあるかなというのが率直な印象でございます。
○千葉座長 それでは,皆さんからほぼ御質問を出していただいたのではないかというふうに思います。
一旦休憩をとらせていただきまして,その後,非公開の部分についての質疑をさせていただきたいと思いますので,ここで休憩ということでよろしゅうございましょうか。
(一同了承)
○千葉座長 それでは,10分間の休憩をさせていただきまして,その後,議事を再開したいと思います。

(休憩)

○千葉座長 それでは議事を再開させていただきます。
ここからは議事を非公開といたしまして,証拠隠滅事件及び犯人隠避事件関係についての質疑を行っていただきたいと思います。
先に申し上げたとおりですが,質疑の時間は,少し押してまいりましたが,是非その辺を御考慮いただきつつ,的確な御質問をしていただければと思います。できるだけ多くの委員の皆さんが御質疑できるような配慮をしてまいりたいと思いますので,よろしく御協力をお願いしたいと思います。
(別室への音声送信を中断)
○江川委員 切る前に一つだけ改めて聞きたかったことがあるんですが。
○千葉座長 ちょっと一回証拠隠滅関係とか,それでどのくらい皆さんから御質疑があるか,その後もし必要あればという形にしたいと思います。
それでは,今,議事の非公開手続を取りましたので,証拠隠滅事件,犯人隠避事件関係で御質疑があればお願いをしたいと思います。
○郷原委員 先ほどもお聞きをしたんですけれども,報告書の64ページ(公表版61ぺージ)に書いてある,この印刷日時を解析する方法については,本件の捜査及び公判に従事した検察官は,前田検事も含め,当時は誰も把握していなかった。これがそんなに前田検事に分からないようなことであったのか,その理由がよく分からないんです。そこについて,前田検事は恐らく知らなかったという供述をしたんだと思うんですけれども,その供述が果たして合理的と考えられるのか,その辺りのところを,これだけではよく分からないものですから,お話しいただければということです。
○池上刑事部長 若干刑事事件の証拠に関わりますけれども,前田検事を含め関係した検事はそういうことに思い至らなかったというふうに,調査に対して答えているところでございます。
○郷原委員 そのことについて,判断のところまで書くべきかどうかはともかくとして,本当にそういう認識がなかったことが,ファイル管理ソフトまで使って改ざんまでする前田検事が知らなかったというのが,本当にそれは,単にそう言っているけれども,それを覆すだけの材料がないというだけなのか,どう見たらいいのかな,非常に重要なポイントだと思うんです。その辺りのことが全然さらっと書かれているだけで,この報告書の中で余り,その後の記述に反映されていないものですから。
○池上刑事部長 前田検事が使っていたソフトというのは,ファイルバイザー4というソフトなんですが,こういう文書データ等を改変する機能があることは前田検事も知っていたようですけれども,前田検事自身は,今までその機能を使ったことはなかった。検証結果報告書にも使っていないというのを書いてありますが,それもあって,そのファイルバイザー4,あるいは一太郎文書のプロパティの使い方等を知っていなかったと言わざるを得ないという認定に立ってこういう記載になっております。
○石田委員 この報告書の106ページ(公表版97ページ)の一番冒頭の部分に,大坪部長において検事正に対しフロッピーディスクの改ざん問題について,公判担当の検事が騒いでいるが,言いがかりである。問題はない旨の虚偽の報告を行った。これを聞いた検事正は,特段の問題はないものと理解したという事実認定を行われております。そしてその後,(略)。みんなこのことが問題ではないとお考えになったという事実認定をされていますが,まず,この事実認定の基礎となった証拠は何なんでしょうか。検事正がこういうことを聞いたけれども,こういう対応をしたというふうなことを調査の過程でまずおっしゃっているのか。そして,大坪部長さんも,そのようなことを言ったということを何らかの取調べの過程等でおっしゃっているのか。どういうようなことでこのような事実認定がなされたのかという質問が第一点。
そして,検察庁の組織として,公判担当の検事が騒いでいるけれども,問題ないよというような発想が本当に出るものか。民間会社だって,こんな発想は出ないと思うんですけれども,これは大変だ,ちょっと調べてみようという発想になるのが通常の一般人だと思いますが,なぜ,こういうような発想にならなかったのかということについて,この調査の過程で何かお分かりになったことがあるのかどうか。この辺りはかなり検察庁の組織の問題としていろいろな人がこういうふうに騒いでいたにも関わらず,何の対応も取らなかったというのは,かなり組織の問題としても問題があるのではないかと思いますので,その点についてお伺いいたします。
○池上刑事部長 お尋ねの点については,大坪氏及び佐賀氏の公判整理手続が,第1回が12月17日に行われたことは既に裁判所から公表されているところでありますので,そういう段階ですので,そこで許されると思われる範囲内でお答え申し上げますが……
○石田委員 これは非公開ですので,あえてお聞きしたんですけれどもね。
○池上刑事部長 まず,大坪部長,佐賀副部長が報告したのは,まず最初に,次席検事でございます。これが105ページ(公表版97ページ)の下のところから書いていまして,そのときの言い方は,前田検事が本件フロッピーディスクのデータ確認作業を行ったことを,本件データの書換えであると公判担当の検事が問題にしたが,それは言いがかりにすぎず,本件データについては本件フロッピーディスクが還付されていて,改変の有無を確認できないという報告がなされたという認定を我々はしております。具体的な証拠は,お尋ねの趣旨はよく分かりますけれども,適法な証拠で確定しているというふうに申し上げざるを得ないと思います。
私どもは,これは佐賀,大坪両氏の公訴事実にも書いていますが,これは,このように言って問題ない旨,次席検事を誤信させたという認定の下に起訴をしているところでございます。認定している以上,それ相応の証拠がありますが,今,公判前整理手続中でございますので,弁護の問題もありますし,そういう段階であるということでお許しをいただければと思います。
それから検事正に対しては,その翌日,改めて大坪,佐賀が,前田検事が本件フロッピーディスクのデータ確認作業を行ったことを,本件データの書換えであると公判担当の検事が騒いでいるが,それは言いがかりだ。つまり,騒いでいるというところに重点を置いた言い方をして,言いがかりであり問題はないと言って,その程度の報告がなされ,検事正はそう誤信したと私どもは認定しております。その結果,何らの措置も採られなかったということですし,(略)ということでございます。
これは大変問題ではないかというのは,組織として問題ではないかというのは,そういう認識でございまして,いずれの者,検事正,次席,公判部長等についても懲戒処分がなされたことは,この報告書にも書いてありますが,御承知のとおりだと思います。
○石田委員 いや,それは処分の問題とか刑事処分の問題とかであれば,その事実認定でいいとは思うんだけれども,組織の問題として,なぜ,検事正までいかれた方も,大坪さんが問題ないということを言っただけで,公判の検事だってちゃんと検事さんなわけですから,それこそ独任庁のやっている検事さんが騒いだのにも関わらず,何もしないということが,悪いことは分かっているんですけれども,何でそんなことが起こり得るのかということなんです。そこがよく分からないんです。普通だったら,公判の検事が何か言っているから,公判の検事のところに検事正が訪ねていって,あるいは呼んで,こういう話を聞いたんだけれども,どうなのとか,何かということを聞くのが普通の行動なんではないでしょうか。
○小津次長検事 それはそんなような対応しかできなかった検察の組織の問題であることはもう間違いないわけでございます。ですので,それ以上,あえて私の個人的知見で申しますと,公判を遂行する過程で起訴をして,公判で特に複数が担当しているときに,やっている公判の検事から見ると,この捜査でやっていたことって少しおかしいかなと思うこともあります。それは,通常の場合,その判断を上に上げてまた議論するんですけれども,その結果として,その公判担当検事の見方が全然一面的で,やはりここの捜査をずっとやっていた者の方が正しいということもありますし,逆の場合もあるわけです。そういう意味では,公判担当検事がああ言っている,こう言っているということ,もちろん本件は中身が違いますけれども,そういうようなことが大事件では全くないわけではないということを,強いて何か実情として挙げれば言えるぐらいでございまして,私もそれ以上申し上げることはございません。
○石田委員 ないものねだりを言っているのかもしれませんが,普通の証拠の見方と評価の問題で,公判検事と捜査検事が分かれるということはよくあることだということは私も理解していますが,こと,改ざんという問題で,そういう騒いでいると言われたときの対応として,やはりそうした検察庁の雰囲気とか風土とか,そういう組織に内在する問題があるのではないかということを考えさせる一場面ではないかという印象でお伺いいたしました。
○江川委員 私もすごく不自然だなというふうに感じたところが二点あります。
(略)
それからもう一つ,これの99ページから100ページ(公表版95ページから同96ページ)に,前田さんが,改ざんに踏み切る経緯が書かれておりますけれども,その中で,例えば,99ページ(公表版96ページ)ですと,最初の黄色い線が引いてあるところの直前に7月13日とありますが,証拠の検討を行った日ですね。大体何時から何時ぐらいにかけてやったのか,そして,その間に突如思いついたのか。前々からこういうふうにしようかなと思っていたのか,あるいは,そのとき思いついたけど,やはりまずいかなと思ってしゅん巡したりとか,いろいろそういう経緯というのは全くなかったのか。これを見ると,こういうふうに淡々とやっている感じがするんですけれども,つまり抵抗感とか,そういうのが全然ここからにじみ出てこないんですね。その辺どうだったんでしょうかという,この二つを伺わせてください。
○池上刑事部長
(略)
それから,第二点の99ページ(公表版96ページ)以下の前田検事が改ざんを行った時間帯ですが,証拠を見ていないのであれですけれども,通常の勤務時間帯であったと─もし間違えていたら後ほど訂正しますが─だったと記憶しております。
それから,そのいきさつ等については,99ページ(公表版96ページ)以下で,動機で,還付の検討をしていた。今,証拠物というのを持っていると,類型開示請求等が来ると必ず出さなきゃいけないものですから,そういう関係でいろいろ検討していたところ,本件フロッピーディスクのタイムスタンプに気が付いた。その際,前田検事は,本件フロッピーディスクについて,他の供述証拠等の証拠関係からすれば,Aさんの関与という事実を揺るがすものではないとは思ったものの,これがいずれ弁護側の開示請求等に応じて弁護人側に明らかになれば供述証拠と不整合だと指摘をされるだろう。公判が紛糾するだろう。あるいはこういった消極証拠があることを上司に今まで報告していなかったことを叱責されるおそれがあるなということで,その場で改ざんをしたというものでございます。
(略)
○江川委員 これ,捜査報告書が,P1さんが確か作ったんでしたっけ。それで,P1さんではなかったでしたっけ。
○池上刑事部長 事務官が作ったものです。
○江川委員 事務官が作ったんですね。それで,P1さんとフロッピーディスクの問題も含めて話したことはあるわけですよね。にも関わらず,それで,それが大昔のことならともかくですよ,2週間ぐらい前の話ですよね。それが全くタイムスタンプに初めて気が付いたみたいな,そんなのはちょっと不自然過ぎるように思いますし,それから,前々からフロッピーは邪魔だな,邪魔だなと思って,どうしようかなと思っていて,ああ,そうかというならまだ分かるんですけれども,何かこのときにいきなり全てが思いついて,大したしゅん巡もなく,そのままさらさらっとやられたというのは,ひょっとしたら,この人は日常的にそういうことをやっていた人なのかとすら思わせちゃうぐらい,全然心の動きが何もないという感じが非常に逆に不自然さを感じさせるんですけれども,どうですかね。ここに書いてあることではなくて,書いていないことを伺っています。
○池上刑事部長
(略)
○江川委員 しゅん巡もないわけですか,迷い。こんなことをしていいのかな,どうなのかな,やはりやめておこうかなとか,そういうのはないの。
○池上刑事部長 それなりにあったとは思いますが,少なくとも同じ日に,7月13日にフロッピーディスクのタイムスタンプを見つけ,その同じ日に実行行為といいますか,この行為に及んでいるということは申し上げられるかと思います。
○宮崎委員 このタイムスタンプの関係ですけれども,まず今回は証拠開示によって捜査報告書が出てきたということが全ての源なんですけれども,この捜査報告書は,類型証拠開示で出したんですけれども,それは開示義務があったのですか,開示義務がなかったんだけれども,任意で公判検事が出したものなんですか。捜査報告書は,範囲についていろいろあると思うんですが,その点はどうなんですか。
○池上刑事部長 先生の御指摘のとおり,まず,本件の6月29日の捜査報告書というのは,検察官請求証拠,第一段階では入れてありませんでした。9月上旬に類型証拠請求があって,まず証拠物としての開示が求められた部分がありまして,当時の公判担当検事,記録や証拠を引き継いでいた公判担当検事は,証拠物そのものではないが,それに準ずるものとして,類型証拠請求に応ずるべきだという判断に立って,9月下旬ころだったと思いますが,開示したものと承知しております。
○宮崎委員 そうしますと,そのときに前田検事は,(略)このフロッピーディスクの改ざんをして返却をすれば,証拠開示請求は免れると思っておられたわけですよね。そうだとすると,証拠開示の制度を潜脱しようとされていたという具合に明らかではないかと思うのですが,そのとおりでいいですよね。
○池上刑事部長 ここに書いてあるとおりでございますので,御指摘のとおりだろうと思っております。
○宮崎委員 そうすると,(略)このような提出を公判担当検事が不用意に出すのは,いや,これは証拠物ではないんだという形で止めようと思えば止められたのではないんでしょうか。
○池上刑事部長 前田検事は,99ページ(公表版95ページ)以下に書いてあるような行為はいたしましたが,残りの証拠関係は全て,御指摘の捜査報告書も含めて公判部に引き継いでおります,7月中に。それで,9月の段階では,おっしゃったような,前田検事から何のそういう意思表示等は伝えられておりませんでしたので,公判担当検事としては当然の判断として証拠物に準ずるものであると,類型証拠請求の項目に該当するという判断で開示した,そういういきさつでございます。
○小津次長検事 ちょっと一点だけ,すみません,コメントといいますか,私の感想。札幌におりまして事件を見ていたという範囲ではございますけれども,この公判前整理手続が導入されて,検察庁はともかく何かあるものは全部出すんだという,頭はどんどんそういう方向に当然のことながら進んできております。もちろん,恐らく弁護人のお立場からすると,個別の事件で,まだあれは何だということはあろうと思います。なおかつ,大阪のようないろいろな人が関与するところで,(略)捜査報告書を出さないでごまかすことができたかというと,少なくとも現在のあれでは相当難しいかなとは思います。
○宮崎委員 なぜそういう形で疑念を抱くかというと,このプロパティデータが作成されたのが6月29日でしたっけ,もう捜査も大詰めの段階なんですね。ところが,フロッピーディスクに関する供述調書はたくさん出ているんですけど,このプロパティデータもCさんには示しているわけです。大阪弁護士会のヒアリングで,Cさんの弁護人が言っているのは,Cさんの被疑者ノートによれば,6月1日のプロパティデータがあるではないか,だから,お前,6月1日に作ってバックデートしたんではないかという取調べを受けておきながら,調書のどこにもプロパティデータの記載がないわけなんですよね。だから,意図的に隠した捜査が行われていたんだというのが弁護人側の疑惑であるわけでありまして,したがって,還付したのも,想定外の開示とか,データの改ざんなど,(略)根は深いのではないかと思っているものだから,お尋ねしたわけです。
あともう一つは,そういう形で私どもも弁護人から,最近の特捜も含めて,みんな証拠物を還付する,参考人の証拠物などは還付するので,開示請求の対象にならない,手持ちだったら証拠開示しなきゃならないんだけど,参考人に返しちゃうと開示請求の対象にもならないというので,証拠開示逃れの実務が出てきているのではないかと,これをやはり是正する法制度とか運用が必要ではないかということを聞くわけなんですけど。今回も明らかにこれは開示請求逃れだと思うわけで,今のことをお尋ねしたということです。
○池上刑事部長 平成17年11月から,この公判前整理手続が導入されて,証拠開示制度が新しくなった。最近では,公判で証拠の開示を巡ってもめているのは,その施行前の事件だったりすることが多く,実は,非常に開示の問題は現場で少なくなってきたなという認識をしていたところでありますけれども,今回の事態を踏まえ,あるいは宮崎先生の御指摘も踏まえ,そういう問題もあるということを認識しつつ,適切に対応していきたいというふうに思っております。
○後藤委員 関連して,証拠物を押収されている人になるべく早く返すこと自体は悪いことではない。むしろ良いことだと思います。ただ,この証拠を,このタイミングで返すのは,早過ぎると普通は考えそうな気がします。今言われた類型証拠開示請求があったときに,担当検察官はフロッピーディスクが還付されていることに気付いたわけですね。そのとき,その方は疑問を持たなかったのでしょうか,何でそんな大事な証拠物を早く還付してしまったのかについて。
○池上刑事部長 私もそういう疑問を実は持ってこの件を見ましたが,公判前整理手続というのは,割と今,起訴から2週間とか,少なくとも1か月以内に,まず検察官請求証拠を開示して,主張予定書面を出さなきゃいけないという,早い段階からそういう手続が進んでいるということで,どうも7月13日にこういう検討を前田がやっていたのは,できるだけ早く主張予定書面も公判部で作ってもらわなきゃいけないし,検察官請求証拠も開示してもらわなきゃいけないと,そういうことだったのかと実は私も,早めにやるということで認識していた次第です。
それと,公判部の担当検察官の認識ですけれども,9月の初めに弁護人から類型証拠請求を受けた際に,証拠物,フロッピーディスクみたいなものを開示せよというのに対して,6月29日付けの報告書がある。それには,その基となったデータのほかにプロパティデータ情報もついている。これを開示すれば足りるということで,開示の決定をしてその手続を取ったところで,フロッピーディスクが還付されているかどうかをそのとき問題にした形跡はありません。
○後藤委員 確認しなかったということですか。
○上冨検事 還付されていることは認識しておりました。ただし,それと同じ内容のものが証拠書類として存在しているので,それを開示すれば足りるという判断をしたんだと思います。
○後藤委員 還付したことに特に問題は感じなかったということですね,その段階では。
○上冨検事 問題を感じたということを裏付けるような状況は把握しておりません。
○石田委員 今のその公判前整理手続は,誰の公判前整理手続のこと。
○池上刑事部長 A氏の公判前整理手続です。
○石田委員 還付はCさんに還付されているわけですよね。全部別の人に還付された人という状況なんですね。
○池上刑事部長 おっしゃるとおりです。
○郷原委員 今の公判担当検事ですけれども,この報告書が証拠開示の段階で検察の立証に決定的に支障になるということは認識していたんですか,このプロパティデータが1日ということになっているので,これとんでもない証拠ですよね,検察からすると。この段階で,もし開示をするということになれば,この後の立証が大変な問題になるということで,公判部内で直ちに検討を開始しないといけないと思うんですけれども,実際そういう動きになっているんですか。
○池上刑事部長 少なくとも当時,公判部の検察官は,その類型証拠をチェックしているとき,6月29日付け報告書というのは,全体の証拠構造と合わないかなという程度の,どうなっているのかなという程度の認識は持ったかとは思われますけれども,決定的に矛盾するという認識を持ったと思われる形跡はなく,通常の手続として開示がなされているところでございます。
○原田委員 私がお尋ねしたいのは,107ページ(公表版98ページ)のエの下の方の,その後,高検刑事部長は,この件について地検から報告がなかったことから,特に問題はなかったものと思い,これを高検次席検事及び検事長に報告しなかったと,こういう認定になっていますが,先ほど,決裁制度の関係等もあるのですけれども,まず前提として,特に問題はなかったものと思い,これを報告しなかったというのは,何も報告しなかったということなのか,それとも,その内容は大坪部長から聞いて,壊してしまったかもしれないが,次席や検事正に報告し,問題はないということになったということは報告したということですか。
○池上刑事部長 ここに書かれているとおりで,大坪部長から聞いただけで,特に何のフォローもしていないということでございます。
○原田委員 それから,高検には随時これだけの大事件ですから,いろいろな形で報告していると思うのですけれども,そのルートというのは,誰が高検に,どんなふうに報告しているのですか。
○池上刑事部長 公判経過については,公判担当のP4検事が直接高検の刑事部長ないし高検次席に口頭で報告することが多かった。もちろん書面では簡単な公判経過報告みたいなものは報告されております。
○原田委員 大坪部長が刑事部長に,同期だそうですけど,刑事部長あるいは次席検事に直接部屋を訪れて報告するということもあるわけですか。
○池上刑事部長 どの段階についてをお尋ねですか。
○原田委員 全体的に大体どんなふうに高検の御意見を聞くのかというのは,ちょっと僕分からんものだから。
○小津次長検事 大阪よりは小さいですけれども。ケース・バイ・ケースですけれども,基本的に書面で上がってくる。特に裁判員裁判等については非常に詳細に上がってまいりまして,基本はそれで把握をする。地検の方から特に高検,なおかつ検事長にまで話をしたいということについては,主任が来たり,それを受ける部長,札幌ぐらいでしたら次席が来たりして話をすることもある。次に,多くの場合は,札幌ですと高検の刑事部長にも話をする。そのときに,高検の刑事部長の判断で,検事長にも話をしておけよということもありますし,特に言わない場合もあるということでありますので,普通,そんなようなことで検察庁は動いているかなと思います。
○原田委員 この高検刑事部長が特に問題はなかったと思ったという判断は,これはこれでやむを得ないという感じなのでしょうか。判断にわたりますけど。
○池上刑事部長
(略)
高検刑事部長としては,地検で調べて何か問題があったら改めて報告してくれと頼んで終わっているわけです。それで,その後,正式あるいは非公式を含め報告なかったので,特に問題はなかったと認識した,こういう記載でございます。
○原田委員 この対応を批判するつもりはないのですけれど,聞かなかったことにしてくれと言われたことぐらい非常に危ない話はないような感じもするのです。何も上に伝えないという体制だと問題で,やはりこれだけのものを壊しちゃったかもしれないと検事から聞けば,先ほどの地検内の話と同じですけれども,何か大分問題だけれども,収まっているようですねという程度のことは,検事長には言われなくても,次席には上げなきゃしようがなかったのかなという感じがします。何かちょっと違和感といいますかね,不思議だなと,このレベルででも思いました。それだけです。
○池上刑事部長 御指摘の点はうなずけるものがございます。
○吉永委員 その違和感のついでなんですけれども,やはり全員があり得ない反応をしているということに対して,なぜだろうかと深く追及しようとしていない印象を受けます。何かサクサク,サラサラとあり得ないことが起きましたと受け止めてしまっている違和感というのもあるんですよ。
例えば,前田さんが,叱責されるのが怖かったら,改ざんしてしまいましたという。これを迷いも躊躇もなく,瞬間にしてしまうということは,常識的にあってはならないはず。叱責を恐れることと,だから改ざんしましたと行為になるのはなぜか。その間に問題があるわけで,そこを丁寧に埋めずに,叱責が怖くて改ざんと言葉をさらっと並べてしまう神経も,私はやや理解ができないんですよ。だって,これは自分が怒られるの嫌だったら,自分のために証拠の方を変えちゃおうかなということなんですよね。叱責とは誰のどのようなことを恐れたのですか。あり得ないことをしてまで何を恐れていたのか。その解明は全くできていないように思うんですが,そのことに関して,できていないと思っていらっしゃいますか,それとも,これで十分と思っているのですか。もし,ここが問題なんだということが分かっているんだったら,あるいは前田さんが叱責の内容について,これで自分の何を失うと思っていたのかというようなことを聞いているのですか。どう考えたって改ざんするより怒られた方がましだろうと思いますが,この判断ができなかったのは,なぜですか。そこら辺のひだを聞き取り,読み取っていらっしゃるんであれば教えてください。
○池上刑事部長 最初に申し上げましたとおり,この事件は今ちょうど公判前整理手続中で,この検証報告書は刑事訴訟法47条の範囲内で書けるぎりぎりのことを書いていることで,さらっとした表現になっている印象を持たれているのかもしれませんが,その辺は公判廷できちっと立証していきたいというふうに考えています。
○吉永委員 ただ,その辺りに構造的な問題や,膿んでいる部分が潜んでいるのではないかなというふうに考えるものですから,もし,何かもっと深く感じ取れていることがあれば,やはり知っておきたい部分なのでありますので伺っているのですが。
○小津次長検事 感じるところという意味で私から。こういう報告書をちゃんと見るまで,ほとんど何も知らないでいた検事ということで。幾つかの点について,何でこんなことになったのかなと新聞を読みながら思っていたことの一つはそういう点,御指摘の点であります。私も実はこの刑事事件の証拠はまだ見ておりませんので,そこにどれだけのことが書いてあるかというのは承知していないんですけれども。池上刑事部長の口振りからすると,ここに書いてあるよりは,ある程度のことが供述調書に書かれているのかなとは推測いたしますけれども,恐らくその供述調書を読んだからといって,なるほど,そうだったのかというようなものにまでなっているかというと,どうか。つまり,私,先ほど,初めの方に人間の弱さみたいなものを申し上げました,強がりしてですね。叱られるって,それはいろんな意味で怖い。それは,勝手に分析していきますと,この事件,確か初めて主任になって大変な失敗をしてしまうと,もうお前は特捜部にだめだと言われるかとか,いろいろ推測は可能でございます。しかし,まさか,お前,もう明日から検事は首だ。路頭に迷うというわけではないわけでございます。この辺り,前田検事がどこまで供述しているか知りませんけれども。
○江川委員 そこが大事なんではないですか。だから,そこのところを,なぜ非公開にしているかというと,オープンにしないためなので,そこのところをちゃんと明らかにしてもらわないと。
○池上刑事部長 12月17日から,今,公判前整理手続が始まっていまして……
○江川委員 それは分かっていますって。でも,何でこれでラインも切って,私たちはこのことについてしゃべりませんと約束しているんですから,それは信頼の問題ではないですか。きちっと言ってくださいよ。
○池上刑事部長 結論においては,ここに記載してあるのにまとめた程度の供述になっているということで御理解をいただければと思います。
○江川委員 検察というのは,全然ふだんから人を叱ったりなんかしないんですか。だって,みんな叱られて,たたかれて成長してくるんではないですか。そんな叱られるたびに一々証拠改ざんしちゃうようではしようがないではないですか。
○千葉座長 多少評価といいますか,そういうことにも関わってくるんだろうと思いますが,ぎりぎりのこの内容なのかなとは思います。
○郷原委員 こういう動機だというふうに認定されたということは,ほかの動機は基本的になかったという認定なわけですね。大阪の弁護士会でC氏の弁護人から話を聞いて,私はやはりもともと考えていたとおりだったなと思ったのは,やはりこの改ざんされたフロッピーが返還されたことがどれだけ弁護人側に,弁護人とC氏との間の信頼関係に影響を与えて,ひょっとすると,Aさんにとって有利な主張自体が出てこなかった可能性もある。そのぐらい結果的には非常に効果的な措置だったわけですね,この前田検事がやったことは。それがたまたま偶然,叱られるのが怖くてやったことが,結果的にそういうプラスに働きそういうふうになったというのは,普通の人間には全く信じられないと思うんですよ。しかも,そのC氏の弁護人に聞いたところでは,その関係について証拠隠滅事件で一切参考人として話を聞かれてもいないという話なんです。これは本当に証拠隠滅の動機についてきちんとした捜査が行われたんだろうか,私は全くその辺が理解できないですね。
○池上刑事部長 御指摘につき,特に御説明できることはないので,御趣旨はよく承っておきます。
○江川委員 だから,そこのところを明らかにしてもらわないとね……
○佐藤委員 一点だけ言える範囲で感想を聞かせてもらえれば。そういう可能性は全くないというならそれで結構ですけれども。
私,これを読んでいて,また今日のやりとりを拝聴していて推測することは,この改ざんの事実を知った後,各人がその事実に恐れおののいたんではないか。したがって,このことについて深く議論をし,その対処策について考えるということについて拒否感というか消極な気持ちが働いたのではないか。したがって,突き詰める立場の人が,それも回避した,あるいは進んで供述すべき人が,それを踏み切らなかったということなのではないのかな。そういう形跡は全くないというなら,そうおっしゃっていただきたいし,そういう可能性もあり得るということであるならば,そう言っていただければよろしいですし。私の推測どおりなら,腑に落ちるんですけれどもね。
○池上刑事部長 昨年の1月末から2月初めに大阪地検内で騒ぎという表現が妥当かどうか,いろいろあったいきさつとか,その段階で前田さんは,これは一部公訴事実に出ていますけれども,過誤によってフロッピーディスクを変えてしまったかもしれないというような詳細な上申書というか報告書というか,そういうものを準備し,それについていろいろ議論があったこと等からすると,御趣旨のような可能性はないわけではないのかなと思っております。
○千葉座長 何かございますか。よろしいですか。
江川さん,最後に何か,先ほどお話しされていた,何かございますか。
○江川委員 非公開の状況で言うことに関しては,一つは,先ほどのような点を明らかにしていただかないと,さっき郷原さんからもいろいろ指摘がありましたけれども,結局本当はもっといろいろな重大な意図があってやったのにも関わらず,これを非常に矮小化しているんではないかというような疑念すら出てくる。つまりしゅん巡とかそういうのは全くなしで,とにかくこういうことをやりましたよと言われると,では,実は本当はもっといろいろなことを考えてやったんだけれども,本人も矮小化している。そして,最高検も,前田さんというのは大坪さんのことを立証するためにも重大な証人でしょうから,それと利害関係にあってそういうふうにしているのかというふうにすら疑われてしまうと思うんです。やはりこういうところではきちっとその点,なるべく真相に近いものを明らかにしていただきたいというのが一点です。
その後,これを開いた後に一点だけ伺いたいことがあります。
○後藤委員
(略)
一つだけ確認したいのですが,前田さんがこのことについてフロッピーディスクに時限爆弾を仕掛けたと言ったという趣旨の報道が一部にはあったと思うのですが,それは確認できなかったということでしょうか。
○池上刑事部長
(略)
御指摘のような報道が9月末の段階であったかと思うんですが,私どももその報道を踏まえて鋭意関係者から捜査もしましたし,聞取り調査もいたしましたが,そういう発言を前田がしたという証拠は得られなかったということです。
○千葉座長 それでは,御質疑も尽きないところではありますけれども,大分今日は大変熱心な御質疑をいただいて,時間が少し押してまいりました。今日ほかにもちょっとお諮りをしたいこともございますので,この辺りで最高検の検証についての質疑を,開いてからちょっとというお話がございましたが,それは考慮いたしますので,この非公開部分の質疑はこれで一応終わらせていただきたいと思っております。
(別室への音声送信を再開)
○千葉座長 それでは,ここから議事の公開の措置を採らせていただきましたので進行させていただきます。
限られた時間でありますので,どうしても今日お聞きをしておかなければということございますれば,江川委員でよろしゅうございますか。江川委員。
○江川委員 年末に池上さんがAさんの弁護人と会って説明をされたということが報じられて,そこでAさんに謝罪も,いつでも,どこでも行きますということをおっしゃったということが報じられていますけれども,Aさんに対して,どのように今後きちっと対応していくのかということはもう決まっているんでしょうか。
○小津次長検事 ただ今の御指摘の点につきましては,私,27日付けの発令で28日に東京に着任いたしまして,年が明けまして本日までの間に,A氏の方から私と会う機会を既に作っていただきました。その際に,私の方から,本件について最高検として謝罪をするという趣旨のことを申し上げたということでございます。その際のやりとりにつきましては,この場で私の方から申し上げるのはとりあえず遠慮させていただきますけれども,事実として既にそのようなことをさせていただいたということだけ御報告させていただきます。
○江川委員 それは,Aさんは謝罪を受け入れたということをおっしゃったわけですか。
○小津次長検事 もちろんA氏の方からは,本件全体について大変厳しいお言葉をいただきました。
○千葉座長 それでは,この辺で最高検の検証についての質疑を終わらせていただきたいと思います。
小津次長検事を始め,今日は最高検察庁の皆さん,大変お疲れ様でございました。ありがとうございます。ここで御退出いただいて結構でございます。
(小津次長検事,池上刑事部長,上冨検事退室)

2 ヒアリング・意識調査(サーベイ)の実施等について

○千葉座長 それでは次に,議事次第の二番目でございますが,ヒアリング・意識調査(サーベイ)実施等についての御議論に移ってまいりたいと思います。
前回の会合におきまして,私の方からヒアリングについて御提案をさせていただき,皆様からヒアリング対象者等について御意見をお寄せいただきました。お手元にお配りをした「ヒアリング候補者」と題する1枚紙の資料,これは皆様から御提案のあったヒアリング対象者を記載したものでございます。後藤委員には大変御無礼をいたしました。追加したものを改めてお配りさせていただきましたので,御参照いただきたいと思っております。
御議論の便宜上でございます。私の方で,一番目に被疑者等として捜査の対象人となった方々,それから二番目に,特捜部を経験なさった検事の皆さん,三番目に,人事コンサルタントとその他有識者の皆さんという形で三つの分野に整理をさせていただきました。これは単に便宜上ということでございます。
実際にヒアリングを行うこととしておいでいただく方の御都合などを考えますと,来週直ちにというのはちょっと難しいかなと思われます。次々回の1月27日木曜日の定例の会合に行うことができるのではないかと考えられます。そして,その日を全てをヒアリングに当てることといたしますと,ヒアリングの時間,大体考えるところ,お一人当たり説明と質疑応答で約40分から1時間ぐらい時間が必要ではないかというふうに思われますので,対象とさせていただく,お越しいただいてお話しいただける方を三,四名ぐらいに絞り込まざるを得ないのかなというふうに考えております。その点も含めて,そんなことを念頭に置いていただきながら,本日,皆様からヒアリングの対象者について御意見を伺い,対象者をある程度絞り込むなどした上で,次回の会合までにその方々に接触をして御協力をお願いするなどの準備を始めなければならないと思っております。そういう意味で,お手元の資料に記載いたしましたヒアリングの候補者の,本当に皆さんから大変貴重なお名前を出していただきました。御意見がございますれば,お出しをいただきたいと思っておりますが,いかがでございましょうか。
○吉永委員 先に失礼させていただきますので,一言だけ申し上げたいと思うんですが,やはり今日の最高検のお話を聞いていても,かなり一方的な人選による検証のようでありますので,やはり我々はなるべく多くの,最高検が検証できなかった人の多くの話を伺いたいなというふうに思うんですね。ただ,どうしても木曜日に,この定例の会議に合わせてその人たちを呼ぼうとしますと,人数が時間的な制約から三,四人にならざるを得ないと思うんです。加えて,そうすると,絞り込むのもすごく難しくなります。できれば,なるべく多くの方々が参加できる時間帯に合わせるなり,あるいは木曜日の定例の全員が集まるという形ではなくて,可能な委員が参加する形で,もう少し日にちを増やして,多くの方からヒアリングをさせていただくということは不可能でしょうか。もし,可能であるならば,分科会的でも,全員そろわなくても,その後,情報を得たものを共有できればいいのではないかというふうに思うのですが,いかがでしょうか。
(吉永委員退室)
○千葉座長 御意見ありがとうございます。
今,御意見をいただきました。そうは言っても,本当に大変貴重な皆さんを出していただいて,全員ということはなかなか難しいかもしれませんけれども,かといって,本当に数人でよいのかという御意見はもっともなところだというふうに思いますので,その辺のヒアリングの方法などにつきましても,もし何か御示唆や,あるいは御意見ございますれば,お出しをいただければと思います。
○諸石委員 今おっしゃいました座長の御発言のとおりで,誰から意見を聞いたかということは,この検討会議は何を事実として把握してやったのかという意味で国民に理解しやすいというか,その意味から言うと,余り絞り込んでしまうと,それができないな。分科会方式ということもあり得ると思いますが,そういう意味から,できれば中を置いてでも本委員会で二回ぐらいフルに使うということがいかがか。特にこの三分類で言えば,これはもう御本人のお気持ちですけれども,Aさんのお話を聞くということは,いろいろな意味でインパクトがあるというか,我々にとって非常に有意義だと思います。さらに,Aさんは,その意味では無罪になった方。有罪になったけれども,どうも納得できないと言っている方がおられる。特に,元外務省の方,私はこの方の本をたくさん読んでいるものですから興味があるんですが,その辺がどんなことをおっしゃるのか非常に興味深いな。やはり特捜というのが今被告人の立場にあるので,やはりその方の思いというか,それも是非聞いてみたい。
もう一つは,やはり被害者,これは特捜事件であれば被害者がいないと,こういうあれですが,一般事件で言いますと,やはり今被害者の立場というものが大切だと思うんです。それから言いますと,ここに書いてあります甲1さんか甲2さんか,是非お願いできるものなら入れていただきたいな。そのほかにも同じような御希望があろうかと思います。できれば,二回ぐらい日をとっていただければどうかなと思います。
○宮崎委員 私も三,四人では少な過ぎるかなと思いますので,少し日程を工夫していただく,前後に時間を増やすとか,二回に分けるという形でお願いできればと思っています。3月末の報告書作成ですから,そうヒアリングに多くを割くことはできないと思いますので,必要なことは分かりますが,犯罪被害者の声までいろいろ聞いていると,論点がどこまで増えるのかなという気がいたします。
それで,私はやはりAさん,それから弁護人を解任させられたと言っているHさんですね。それから,乙1副市長ですか,この方も無罪が確定して,今,係属中ではないので甲4さん,この三方ぐらいが係属中ではないということで,しかも,本件に関連している関係者の方かなと思っています。それから,特捜経験者ということで言うと,甲5さんなどが考えられるのではないかと思っています。それからあと,人事コンサルタントの方も,是非この関係では必要かもしれませんので,これは高橋委員の御推薦で,どちらかお一人というようなことで良いと思います。そうしますと,それだけで五人になっちゃうんですけど,一応私の意見としては,そのようなことを考えています。
○郷原委員 私も分科会的に少し時間をかけて,少人数でやった方がいいんではないかと思います。ある程度特捜の実態を明らかにしようと思えば,少し具体的に聞かないといけないところも出てくると思いますし,大人数のヒアリングよりも少し人数が絞られた方がいいんではないかということで,先ほど吉永委員が言われた分科会の方式でたっぷり時間をかける必要があるんではないかと思います。
そういう観点から,大阪地検の問題だけではなくて,東京の問題も含めて,被疑者側で捜査の対象となった人たちの話はできるだけある程度広い範囲で聞く必要があると思いますし,先ほど,宮崎委員がおっしゃった方々に加えて,無罪が確定している事件の中では,乙2の元幹部だった方,それからこの捜査の過程で捜査のやり方に問題があったということを指摘している人もいますし,そういったところから話を聞くべきではないか。
それから,特捜部経験者の中には,特捜部に対して批判的な立場で物を言う人というのは余り多くないですね,この中では。それで,私もあえて,この人だったら来てくれるんではないかなということで,甲6弁護士を挙げておいたんですが,こういう特捜検察の内実について客観的に物を言ってくれる人から話を聞いた上で,特捜の中心になって活躍してこられた方々の話を聞かないと,一方的に,昔はよかった,今はでたらめになったという話を聞くだけになってしまうんではないかという気がします。
それからもう一点,こういうヒアリングをする上で,単にお話を聞くだけではなくて,やはり過去の関連の事件の記録についてもある程度確認をしないといけないところがあるんではないか。それが確定記録でどこまで資料として活用できるかということと,可能な範囲で不起訴になった事件についてどういうことだったかということで事務局の方で確認してもらったり,そういうことで,ヒアリングだけに頼らない形で実情を把握する必要があるんではないかと思います。
○井上委員 分科会方式というのも考えられるとは思うのですけれども,一部の委員だけが一次的な情報を持ち,それを又聞きの形でほかの委員が読み書きして知るというふうに格差ができるのは好ましくないのではないかと思いますので,諸石さんや宮崎さんが言われたような形で,日程をやり繰りして,もともと1週間に一回というのは我々としてもかなり厳しい上,3月末までにまとめるということをめどにしているわけですが,その中で可能な限りやり繰りして,全員が同じ情報を共有できるような形でヒアリングを行った方がよいと,私は思います。
ヒアリング対象者については,このヒアリングを何のためにやるのかということにかかっていると思います。みなさんの御提案には様々な趣旨・目的が盛り込まれているようですけれども,その一つは,今回の事態の経緯として不明な点や背景事情を明らかにするということだろうと思いますが,その関係で挙がっている候補者の多くはまだ事件が係属中の当事者か,あるいはその関係者,証人的な立場の人で,そういう立場の人のごく一部だけを呼んで話を聞くというのは,適切ではないのではないかと私は思います。その意味で,宮崎さんもおっしゃったように,確定している事件の当事者ないし関係者をお呼びするというのが適切ではないかと思います。
また,特捜の関係では,お名前が挙がっているのはそうそうたる人ばかりで,皆さんからお話を聞いてみたいなとは思うのですけれども,かなり以前の特捜部のことではなく,なるべく最近の特捜部のことが背景事情として問題になるわけですので,それに通じた方で,かつ,決裁の問題も絡んできますので,決裁の経験もされている方が望ましいのではないかと思います。
3つ目のカテゴリーについては,これこそ何の目的で呼ぶのかが最も決め手になるわけですが,本検討会議は,いろいろな方面の有識者が集まっていて,そのようないろいろな角度から問題を検討する,そういう会議体ですから,それに加えてなお足りない部分を補ってもらうためにヒアリングを行うというのが主たる目的ではないかと思うのですね。その意味では,高橋先生がいらっしゃるわけですけれども,人事管理とか教育とかの問題がすごく重要となると思いますので,人事コンサルタントの関係の方々のお話は是非伺ってみたいというふうに思います。
○郷原委員 今おっしゃった最近のことが問題になっていると言われるのは,どのぐらい最近のことなんですか。この数年間という意味ですか。
○井上委員 かなりアバウトな言い方をしましたが,。随分前に特捜部を経験された方よりは,比較的最近,と言っても,ここ一,二年というわけではなく,ある程度幅のある期間なのですけど,なるべく最近の実情に通じた方の方がよい,ベターではないか,そういう趣旨です。
○但木委員 その点だけについて言うと,時間がたくさんあるなら,たくさん呼んだらいいんですけど,僕は基本的には,今,井上先生が言われたことがいいと思うんですよ。できるだけ知識は共有していた方がいい。そうでないと,いざ最後詰めるときに,自分の参加していなかったところが中心的課題になったときに,非常にまずいと思う。もちろん限界を超えてどうやるかというのはあるでしょうけど,できるだけ皆さんで共有してもらいたいということが一つです。
だから,やはりそれなりに絞らざるを得ないんだと思う。だから,それを二回ぐらいにわたってやれるなら,何人したらいいのかということになる。
それから,第三番には,特捜の経験者ということですけれども,正直,立派な人がずっと並んでいますので,どの人から聞いてもいいんですけれども,今の特捜の状態,特に東京の特捜の状態を知っているのは甲7ですよね,この中で。甲7さんは,たしか東京地検の特捜部の副部長もやっていたはずで,それなりに決裁官でもいたので,もし皆さんが大阪だけではない,この問題は東京の問題でもあるんだというふうな問題意識をお持ちであれば,僕は甲7氏を呼ぶのが一番今の問題には適切かな。時間的余裕があったら,ずっと昔から特捜はこういうことでありますというのをやってもいいけど,時間がないなら,彼にやってもらう。現職の人を選んでみても,現職の人は現職の限界でしか物を言えないので。彼は現職を離れて,ある意味で検察と長く関わって,検察をひいきしなきゃいけないという義理も今のところないわけだから,彼に頼むのは,多分今の東京地検特捜部の状況を知りたいということであれば,一番適切ではないかなと思います。
○江川委員 知識を共有するというふうにおっしゃいましたけれども,それは私たちの知識が全然みんな違うわけで,それこそ,井上先生や但木先生のように,刑事の問題について精通している方もいらっしゃれば,私のように全くの素人もいるわけです。この会議は,誰に向かってこれから発信していこうとしているのかというと,やはりそういう専門家ではない人たちが持っている疑問にきちっと向き合っていくということだと思うんですね。そういう意味で言うと,今の検察というのは,本当にAさんの事件だけなんだろうかというのがやはり多くの人の不信感や疑問の源だと思います。そして,さっきの報告書を聞いていても,非常に内輪だけの論理で行われている調査でありますし,全体像を知るには非常に不十分な調査であります。
その上で,大阪だけの問題なのか,あるいは特捜部だけの問題なのか,あるいは検察全体に共通する問題も含まれているのか,いろいろな観点から考えておく必要があって,そのためには,一,二の事件関係者だけではなくて,いろいろな人たちに話を聞く必要があると思います。ただ,それは日程が足りないということであれば,先ほど,吉永さんがおっしゃったように,別の日を設けてやる。あるいは,それでも足りないということであれば,何人かが個別にヒアリング,あるいはチームを作ってもいいですけれども,ヒアリングをして,それをレポートにして報告するということでなるべく共有していくということで,なるべく多角的な検討をやるという姿勢が大事ではないかなというふうに思います。なので,まずは1日ではなくて2日ぐらいは必要だろう。それで漏れたら,またヒアリングの特別日を設ける,あるいはそれでも無理だったら,個別のヒアリングをして,書面でレポートするという何段階かの構えでやっていく必要があるかなというふうに思っています。
○諸石委員 今,江川委員の御発言にあえて反対のことを申し上げますけれども,なるべく幅広く勉強しよう,これはその方が望ましいのは言うまでもない。ただ,分科会とか専門委員とか書面とか,そういう形でやり出すならば,これは逆に言うと幾らでも広げることができる。そうすると,それを共有できないという意味で,私は是非この本委員会だけでやるべきだと思う。日程的に本委員会の日程をあれこれ無理をするということはあっても,一部委員だけのもの,ないし書面とか,そういうものでないようにすべきだと思います。我々全員が,それはみんな知識のレベルは違うわけでして,全てに共通している人はいない。そういう中でも,だからと言って,たくさんの知識を仕入れるということが趣旨になるものではなかろうと思います。
○郷原委員 分科会というやり方が余り適切ではないということであれば,先ほど吉永委員が言われていたような,日程調整は困難でも,別途それなりに日数をかけて全員が集まることを前提にしたヒアリングを行い,そこでどうしても都合がつかない委員がいらっしゃるのは仕方がないという形にすべきで,ヒアリングの対象者として相当な数は確保しないといけないと思うんです。例えば,但木委員がおっしゃった甲7弁護士を呼ぶ,これは私も適切だと思うんですけれども,でも,恐らく甲7弁護士の話は,自分が特捜部でやったときには,こういうふうにきちんとやっていて,全然問題なかったという話しか出てこないと思うんですね。やはり反対側の実情がどうだったかという話を誰かに語ってもらわないとバランスが取れないと思います。私はたまたま思いついたのは甲6弁護士ですけれども,彼以外にも一緒に仕事をした人間はたくさんいます。そういう人たちで率直に実情を話してくれる人からのヒアリングをしないと,せっかくヒアリングをしても意味がないんではないかと思いますので,そういったことができるようなヒアリングの日程をセットすべきではないかと思います。
○高橋委員 実は,この中で,甲8先生と甲9先生というのは,ここに人事コンサルと書いてありますけれども,人事コンサルではなく教授なんですけれども,ちょっと異質であります。私が推薦したんですけれども,やはり今回の件にそれなりに関係している分野の権威である必要があるので,そう何人もいるわけではないんです。どちらも,甲8さんは組織論とかミドルの問題の権威であるし,甲9先生は新進気鋭の組織学習の権威でありますから,非常に適任だと思ったんですが,やはり私も算段してみたんですが,木曜日に来いというのは不可能だという感じです。また,そもそも,これはただ一般論を私たちが勉強するために来てもらっても意味がないので,正直言って。そうすると,相当検察の勉強をしてもらわなきゃいけないんですよ。当然今回のレポートも読んでもらわなきゃいけない。そうしないと実のある議論にならないのですが,そこまでの時間は取れない。井上先生もさっきおっしゃっていましたけれども,今,入試の時期で大学の先生はちょっと無理という感じがかなりあります。ということなので,別途の場所でやるか,あるいは,もし信用していただけるのであれば,私がヒアリング,一回甲8さんにも,甲9さんにも実は私,個人的にヒアリングして,何人にもしているんですけれども,ヒアリングをした上で,こういう人たちはこう言っていますよということを御報告するのか,あるいはこの検討会議の場面以外でやるのかでないと難しい。人事系の方はどうも,この日に合う人を誰でもいいから呼んでくださいと言えば呼べますけれども,そういう人に来てもらってもなというのが正直なところです。
○宮?ア委員 私,甲5弁護士を検察特捜部の関係で先ほど推薦したのは,今,たしか乙3事件の弁護をやっておられて,最近もずっと実践で弁護活動をやっておられて,特捜の捜査ということについても発言できる方というので適任ではないかという形で推薦したということです。
○千葉座長 今,皆さんから大分御意見をいただきました。基本的に,私としては,最初に申し上げましたように,でき得る限り本会議というか皆さんと全員の共有できるような形でいろいろな議論を進めさせていただきたい。そのようなことを冒頭に申し上げました。そういう意味では,でき得る限り全員の会合でという形をとりたいというふうに思いますが,ただ,それだけでは,今皆さんからいただいた御要請,あるいは私自身も1回でお二人,三人で終えるということでは到底ないと思われますので,定例日という形ではないけれども,間でできるだけ皆さんが御参加できるような形で全体会合という形を,できれば何回かとらせていただき,定例日も使えれば良いのですけれども,そういうことが一番皆さんの御意見で共有できるところではないかなと思いますので,そんな方法で少し日程とか,それは検討させていただければと思います。
それから,人選でございますけれども,これもそれぞれ皆さんからの御推薦,本当に貴重な御意見をいただける皆さんであろうというふうに思います。それから,一面的ではなく,また多面的な形で御意見をいただくことも大変大事だろうと思いますが,この検討会議で一応大臣から求めていただいているのが,3月一杯で何らか一定の意見を上げてほしいと,こういうことを私も仰せつかったところでございますので,そういう意味で,やはり今回のこの検討会議の趣旨にまずは沿った形で,そこをまず第一に,そして,できるだけ可能である限りいろいろな皆さんにも話を聞くということではないかなと思いますので,今,高橋先生から大変日程的に,コンサルの方が厳しいと……
○高橋委員 木曜日以外であれば,来て説明することが可能な日もないことはないというくらいの感触です。
○千葉座長 そうですか。では,そういうことも念頭に置きつつ,第一分野,それから特捜部経験の方でも,それぞれお一人だけで実態が分かるかということもあろうかというふうに思います。そんなことも含めて,今日の皆さんの御意見を次回までに私のもとで整理をさせていただいて,できる限り皆さんの御議論の大きなベースになるように整理をさせていただきたい。次回皆さんにお示しをして,あるいはそれまでの間でも皆さんに御連絡を取らせていただいて,次々回には少なくとも何人かお話が伺えるような形にしたいというふうに思いますが,今日の段階はどうでしょうか,そのようなところで。
○江川委員 それでよろしいんですけれども,やはり例えば高橋先生がおっしゃったような方というのは是非伺いたいんですが,どうしても日程が合わない場合もあるわけですよね。そういうときは,高橋先生が提案してくださったように,高橋先生に聞き取りをしていただいて,それでレポートしていただく。あるいはほかの事件の関係でも,私は前々から貝塚の放火事件を非常に重要だというふうに申し上げてきましたし,終わった事件では,志布志事件などが検察のいろいろな問題点を学ぶのにとても適切な事件だと思うので,それはきちっと調べてみたいと思います。そういうそれぞれの観点,井上先生なら井上先生,石田先生なら石田先生の観点から,こういうのが必要ではないかというのを,むしろ排除するんではなくて,なるべく積極的にそれぞれがやって持ち寄るという感じにしてみたらどうかということも考えるので,そういった事実調査,あるいは誰かをレポーターにしてのヒアリングということも考えていただきたいと思います。
○千葉座長 基本は皆さんの会合でお聞きができればということでございますので,あとそれぞれの皆さんが,こういう方から,こういう話を伺うことができたというようなことをお出しいただいたりすることというのは,これも決して拒むものでもありませんので,そういうことも含めて,できるだけいろいろな皆さんの御意見をこの場に提供していただくことができるようには,私も努力したいと思っております。
○郷原委員 事務局の方にも言っておいたんですけれども,大坪氏の弁護人の方に,やはり今回の最高検の検証結果について反論の機会を与える必要があるんではないか。かなり大坪氏に対して一方的に悪者視するような検証結果報告書が出て,この場でそれを一方的に受け取るような形になるのは問題ですから,書面でもいいと思うんですけれども,何か反論を。出さないというならいいんですけれども,検証報告書全体について何か意見があれば述べてほしいということは,ヒアリングとは違うんですけれども,一応考えた方がいいんではないかと思うんですが。
○千葉座長 ありがとうございます。なかなかお呼びして聞くという,そこはいささかどうかなと思いますので,何か今回について御意見をお出しいただけるのかどうか,それは検討させていただきたいと思います。
○江川委員 あと資料のことでお願いがあるんですけれども,今日の検察庁の方のお話の中に出てきたんだったか,やはり今までも幾つか検証があったと,志布志事件とか氷見事件,あるいは足利事件でもやっていますよね。最近のそういった検証結果,どういう検証をしていたのか,それが果たして生きていたのかどうかということも考えなきゃいけないと思うので,今までの幾つかの検証結果ですね,その報告書みたいなのがまとまっていると思うので,それは提供していただくようにお願いしてもらえないでしょうか。
○千葉座長 それは,資料としてきちっとお届けできるようにさせていただきたいと思います。
○井上委員 さっきお話の出た大坪さんの弁護人の方から意見を出していただくという件なのですけれども,本検討会議として,最高検の検証結果報告書に対し反論する機会を設けるので,反論があればどうぞと呼びかけるのはちょっと筋違いではないかと思うのですね。本会議では,検証結果報告書を一つの資料にして検察の問題を考えようという趣旨で報告を聞いたのであって,検証報告書それ自体が本会議を名宛人とするものではないのですから,もちろん大坪さんの側が,この会議でそういう報告が披露されたようだけれども,ここのところは違うというふうに意見を出してこられれば,それも資料にさせていただくというのは構わないと思うのですが,本会議として,最高検の検証結果に対して反論の機会を設けるというのはちょっと筋違いかなと思うわけです。最高検の検証結果報告書それ自体は,ここに対する報告というものではないわけですから。
○郷原委員 それに対して報告を受けたわけではないのですか。
○井上委員 報告を受けたというより,我々がこれから検討していくベースとして伺ったということだと思うのです。
○郷原委員 ただ,そのまま検討のベースにしていいかどうかが問題だから言ったんですが。
○井上委員 郷原さんも,御自分の書かれたものなどを資料として出されているわけでしょう。それと同じような意味で出していただくのは構わないと思いますし,本会議で最高検の検証結果が披露されたということは公表されているわけです。その内容のここの部分が違うというのであれば,出していただいて,それも参考にするというのは結構だと思うのですけれども,本会議が,最高検の検証報告書自体に対して反論の機会を設けて反論を聴く,そのような立場にあるのかどうか疑問に思うということを私は申したのです。
○江川委員 私たちはなるべく事実に基づいていろいろ問題点を把握して,この改善の提言をしましょうということなので,これは一方の方から,大坪さんの個人的なキャラクターの問題だみたいな感じを言っていて,それを前提にしちゃっていいのかどうかということを確認するような努力はやはりするべきだと思うんですよ。だから,確認する努力はちゃんとすべきで,それについて,向こうはまだ裁判の対策もあるから言いたくないということであれば,これはしようがないと思うんですね。だけど,事実を確認する努力もしないというのは,やはりこれは怠慢になるんではないかなと思います。
○千葉座長 それぞれ意見いただきまして,私は,この検討会議の名前で,お出しくださいということを言うつもりはありません。ただ,もし御意見,何かこういう検討しておりまして,最高検からも御報告いただきました。何かもしお話がございますれば拒むものではございませんということだというふうに思っておりますので,そのようにさせていただきたいというふうに思います。
それから,最高検から御報告をいただいたというのは,別にその報告,最高検が検証されたということですので,それをお聞きしましょうということでございますので,その検証については,別にこの検討会議への報告書でも何でもございませんので,これはそれぞれ皆さんからいろいろな資料も出していただいている,そういうものの,ある意味では一つという,最高検の検証を何か土台にとか,あるいはそれをたたき台にして検討するという性格のものではないというふうに思っております。ただ,報告を受けて,それはどうもここのところが分からないな,あるいはここはどうもおかしいんではないか,こういうことについて尋ねるとか,あるいはそれを調べる,これは必要だというふうに思いますが,ここに報告をいただいたという種類のものではない,一つの参考の資料だと,御報告だというふうに受け止めておきたいと思っておりますので,そのように御理解をいただければと思っております。
それでは,ヒアリングにつきましては,限りはあるとは言いながらも,いろいろな方にお話が伺えるような,できるだけそのような日程の調整などをしてまいりたいと思いますので,よろしくお願いをしたいと思っております。
それでは,サーベイについて御議論いただきたいと思います。前回の会合と,その後,皆様からお寄せいただいた中で御提案をいただきました,検察官に対する意識調査(サーベイ)について御議論いただきたいと思います。
このような意識調査を実施することとした場合の方法等につきまして,この種の調査についての知見が豊富な高橋委員の方から,本日,御提案をいただけると事前にお聞きいたしておりますので,高橋委員から御説明をいただきまして,皆さんにまたお諮りをさせていただきたいというふうに思います。
○高橋委員 なるべく手短にやらせていただきます。
サーベイの話は,もともと私というよりも,先に石田先生から出た話であるんですが,私もいずれにしてもやる必要があるという気持ちはございました。少し石田先生とも御相談させていただきながら,我々キャリアラボは,随分これやっていますので,いろいろなところで。こんなことかなということで少し案を出させていただきまして,この後御意見を,今日というか,ここ数日以内にということで御報告させていただきたいと思います。
まず,よく組織調査とか意識調査とか言うんですが,一般的な考え方を簡単に整理させていただきますと,定期的に組織構成員の意識や行動について質問表による調査をすることで,今,組織の人たちのモチベーションとか求心力とか,あるいは人材流出の危険性とか,正にコンプライアンスとかメンタルの状況とか,いろいろなものの実態の把握をするということに使われるもので,これはどうやって分析するのかということが実は非常に重要なんですが,一つは,絶対値として高い低いという判断はもちろんできますけれども,一般的には部門別の比較,それこそ大阪と東京とで違いが出るのかとかですね,こういうことで。
もう一つ,本当は一番大きな業界他社比較なんですが,検察の場合はこれができないというんですね。そこは残念なんですね。でも,これは本当にコンペティターがいない組織だというのは,実は非常に大きい意味を持っているわけなんですけれども。
それからもう一つが,経年比較というのは非常に大きいんです。なぜかといいますと,定点観測的に経年比較することによって,改良に向かっているのかどうかを確認するというのが,実はこの手のサーベイの非常に重要な意味の一つです。ただ,一回目は経年変化が見られませんので,一回目の結果に,正直余り過大な期待をされるとという部分もございます。
今回の目的なんですが,検察組織の風土や職員の意識,業務の実態などについて,今後継続的にその実態と変化を把握するために,定期的に調査を行うということはいいアイデアではないかと私は個人的には考えているんですが,まずそのために,今回は試行ということで,本当は拙速にやるよりも,じっくり時間をかけてやった方がいいんですが,そうすると,3月末に全く間に合わないんですね。幾つか制約条件がございますけれども,ただ,一般的に言って,この手のサーベイというのは,はっきり言って印象で一人一人が答えるわけですから,ここから驚きの真実が生まれてくるということは,比較的ないんです。逆に言いますと,インタビューやヒアリングなどで仮説をしっかり形成したものの仮説を定量的に実証して,その経年変化を見るというのが主たる目的になりますので,仮説がはっきりしない段階で質問表を作るというのは,本当は余り好ましくないんですが,それを言っていますと,とても3月末に間に合いませんので,この1週間ぐらいで私の方で頑張って一気に質問表を作らせていただいて,いわゆる先ほどからいろいろな委員の方がおっしゃっている,何でこういうことが起きたのかという真実が,実はこうだったんだということが分かるというふうには期待していただくと厳しいだろう。むしろそれよりも,今後の組織変化を担保するための手段として,ああ,やはり今回やったけど,こういうこと見えてきたんだから,こういうことって毎回やるの重要だよねということを提言に入れるための試行みたいな形をまず考えていただく。ただ,そうはいっても,この中で意外にこうだったんだねという事実が見えてくる可能性も十分あるというふうに考えております。
調査自体は,そういう意味から考えますと,検察組織自体がやるべきことだというふうに考えています。これは継続してやることが一番好ましいわけですから。
もう一つは,正直私も感じるんですが,今の検察の組織の中で,恐らく検討会議に対して,ある種期待と警戒感が非常に入り交じって渦巻いている状態だと私は何となく思うんですね,いろいろな意味で。そうなりますと,こういうタイミングで,本当はこういう調査をするのは好ましいとは言えません。というのは,こう答えたら,この検討会議でその材料をどう使って,どんな判断をするだろうから,きっとこう答えた方がいいんではないかというふうに考える可能性が十分あるわけですよね。そうなりますと,やはりやった意味が半減するという問題があります。そういう意味からしても,これは検討会議が調べろと言われたからやっているという形ではなく,検察自身が自分たちの組織としてやるんだ,重要なんだ,こういうことはというふうなことをコミットしていただいて,率直に答えてくださいというふうに言っていただくというのがひとつ重要ですし,それから質問項目のつくり方も,余りにもトリッキーに,これは何か引っかけようとしているなと思えないような,率直に答えやすいようなものをできるだけ作っていきたいと,こんなふうに考えています。
今回時間の関係で,検事だけというのは,人数の問題もあるんですが,最大のポイントは,インターネットアクセスがないと短期間にできないんですね。ざっくり簡単に言いますと,匿名性の担保のためにも,一般的に外部の業者さんや我々企業ラボをやったりするんですが,そういうところからURLで送って,パスワードを送って,一人一人が与えられたパスワードとURLを開いて入れて,そこでダーッと入力していく形を取りますと,リアルタイムで集計ができますので,そうすると,大体アンケートを始めてから単純集計が出るまで数週間ぐらいでもできるんです。これ紙ベースにしますと数か月になって手間が相当かかります。コストも桁が違ってきます。それを考えますと,インターネットアクセスがあるのが今検事に限られるという前提でいきますと,次回以降やるとしたらどうなるか分かりませんが,検事の方だけ,要するに,検察事務官の方ではなく検事の方だけを対象に,とりあえずは急いでやるんであればせざるを得ないという実態があります。こういうことは実はよくあるんです。店舗なんかでも,店舗にはインターネットアクセスがないので,店舗の社員にはできませんとか,そんな話はよくあります。そういう場合には紙にするとかいろいろ考えるんですが,今回は時間が限られているので,そこが難しい。
それからもう一つは,匿名性の担保が非常に重要なので,まず例えば,コメント欄を1個設けようと思うんですが,コメント欄についてはほかの回答とは切り離してそれだけまとめて返すみたいな,そうしないとどういう回答をした人が,どのコメントしているかというのが分かるとある程度見えてしまうと,本当に見ようとしているかどうかは別としても,答える方が感じてはだめなので,匿名性の担保のためにどうするかというのは,今工夫を考えております。
それからもう一つは,実は,さっき申し上げたように警戒感が明らかにあると思うんですよね。特に検討会議から言われてやっていますという認識になればなるほど警戒感が出てくると,はっきり言って,答えると建前論になってくる,あるいは理想論を答える。できているかどうかは別にして,そうあるべきだということで答えられちゃうと,ほとんど意味がなくなっちゃう。したがって,その場合,外部公開をどうするんだというのが大きな問題になります。ただ,やはり今回は検討会議から出てくるものですから,今回,初回少なくとも試行をやるときに,全然外部に出さないというわけには当然いかない。これをどうするのか。それから,答えてくれた組織の検事の方々に対しても,答えてもらったからには,それなりに,つまり,単純集計の結果だけではなく,それを感じ取って検察組織として,我々今どういう問題を持っているという認識で,どんなふうにそれに対応しようとしているのかということをちゃんと真摯に返してあげないと,次から答えなくなりますから,せっかく答えていただいたからには,検察の内部の方にも,その解釈をどうしたんだということも含めた報告は,是非組織の中でしていただきたいし,組織の中でするということは,外にも流れるということにはなると思うんですけれども。ですから,公開をどういう形までやるのかというのは,当然これ要検討だという部分がございます。
実際の例なんですが,あと書きましたけれども,大分類を今のところ七つぐらい考えていまして,大分類はそんな重要ではないんですが,それぞれの大分類の中で質問項目を大体七,八個とか五,六個は設けようと思っています。今一個ずつぐらいありますけど,これは本当に単純に例として一個入れたものです。
例えば,「自分は上司の方針や指示に問題があると思った場合,反対意見を述べることがよくある」。これは,よくあるかというふうな,なるべく事実ベースで聞かないと,非常に答えが不正確になりますので,できるだけ事実ベースにのっとって聞けるようなものを聞きたいというふうに考えていますが,意識調査という部分もありますから,あなたはどう思うかということも当然中には入っています。
例えば,中には見ていただきますと,「今まで自分が作成した供述調書が公判でその任意性,特信性が否定され,証拠採用されなかったことがありますか」と,これはイエス,ノーの答えしかないわけですが,例えば,これがイエスと答えている人とノーと答えている人で,ほかの答えにどう違いがあるかということは,恐らく分析は可能だろうというふうには思います。
最後に自由記入欄。これはここに書きましたように,最高検の報告書に対する感想,検討会議への提言,日頃から感じている問題意識,何でもいいです,書いてくださいというのを最後一個まとめて,大体今のところ想定しているのは,60問ぐらいを想定しています。今,作り始めていて,大体50問ぐらいまで見えてきているんですけれども,こういうものの限界は一般に七,八十問と言われていまして,それ以上になると答えてくれなくなる確率が高まります。ということなので,問題数も限られておりますが,皆さんの方で是非こういうのは聞きたいというのは,設問にするにはテクニックが要りますので,こちらの方でやりますけれども,こういうことを聞きたいというのがありましたら,できるだけこの数日,この週末ぐらいまでの間に事務局の方に伝えていただければ,それにのっとってできるだけ質問項目の設計に生かしたいなというふうに思っておりますので,よろしくお願いしたいと思います。
できれば20日,でも20日には間に合わないかもしれません。次回,間に合わなければ,その数日後ぐらいに,メールで,こんなのを作りましたけれども,あと意見があったら言ってくださいと言うつもりです。その上で意見をいただいて,27日ぐらいまでに確定して,インターネットの調査の会社に流せれば,うまくいけば,恐らく3月の中旬ぐらいには,ぎりぎり単純集計,一次集計が上がってくるのではないかなと期待しております。そんな感じでございます。
○宮?ア委員 60問もみんな答えてくれますか。
○高橋委員 一般的には80問ぐらいでいつもやっていますが,回答率ですけれども,インターネットとかでくっつけてやると結構それはできるんですけれども,ただ,回答率ですから,一般的に会社でこれをやりますと,70%から80%が普通です。6割ぐらいだと,ちょっと低いなという感じになります。今回は,下手をすると,時も時なので,下手なことを言うとどうとられるか分からない。検討会議には厳しい弁護士の先生もいるし,余計なことは言わない方がいいとか,もしみんなが思って,回答率が5割切るようなことになると,果たして答えの信頼性があるのかという危険性はもちろんあります。ありますが,やらないよりは,とにかく一回はやった方がいいだろうと,こんな感じで考えております。
○石田委員 高橋先生には御尽力いただき,私とも議論させていただいて,このようにまとめていただきまして,本当に有り難いと思っております。
先ほど,今回,今の時点でやることについての危険性といいますか,その問題点も高橋先生の方から御説明ありましたが,私は,今の時点で検察官の方々がどういうような行動をするか。例えば,全然回答をしてこなかったかといったような問題とか,ものすごく回答があるところに偏ったかということを見ることも今の検察庁の体質,あるいは風土を見る上には非常に重要な問題ではないかというふうに考えております。そこはかなり重要だと思うんですよ。ですから,この調査は,今の時点でやっても意味があるのではないかと思います。
○千葉座長 大変貴重な御提起,それから御提案をいただきまして,いかがでしょうか。皆さん,この調査をやって,御準備をいただくということ,大変有意義ではないかというふうに思いますが。
○但木委員 私は大賛成です。ただ,二つお願いがあって,一つは,問いの数が多いと回答率が下がりますから,できるだけうまい質問を50問ぐらいでやらないと,仕事が忙しいもので,それの中でそれに関わるというときに,相当面倒臭いというのがあると思うんですね。だから,できれば問数をできるだけ少なくしてくださいということなんです。
○高橋委員 おっしゃるとおりです。
○但木委員 それからもう一つは,そんなことはないと思うけど,でも,やはりこの時期を考えると,匿名性というのを信頼できる形で担保してあげないといけないなと思います。率直な意見が出てくる一つの担保としては,その匿名性については御工夫を願いたい。それだけです。
○千葉座長 ありがとうございます。それでは,皆さんもこの調査におおよそ御賛同,そしてまた必要ではないかという御意見と承りますので,では早速御準備をいただき,今,設問の数,それから,是非こういうことを聞いてほしいということは,もう数日ぐらいのうちに,事務局を通じて……
○高橋委員 私の属するキャリア・リソース・ラボラトリー,慶應の藤沢キャンパスの,ここは所長が花田教授という人で,花田教授御自身もこの,いわゆる組織調査系の日本の権威でもありますので,できる限り,私だけではなくその組織の人間の知恵も使って御協力をさせていただきたいというふうに思っています。
○千葉座長 それでは,皆さんからもどうぞ何かございますれば,事務方を通じまして高橋先生の方にお伝えをしてまとめていただくという形にさせていただきたいと思います。
それでは,高橋先生どうぞよろしくお願いいたします。
○高橋委員 はい。

3 その他

○千葉座長 最後に,本日の議事録等の取扱いについて確認させていただきます。
本日は,議事の途中を一部非公開といたしておりましたが,公判係属中の刑事事件との関係で,公表することが相当でないと考えられる部分につきましては,議事録にも掲載しないことといたしまして,どの部分を掲載とするかにつきましては,私の方に御一任いただければというふうに思いますが,よろしゅうございましょうか。
(一同了承)
○江川委員 それについて質問なんですが,それは私たち自身も持たないということなんですか,非公開の部分については。
○千葉座長 議事録ですか。
○江川委員 はい。例えば,私たちが忘れないために持っている部分は非公開の部分も記載されて,取扱注意という形でするのか,それとも,それもなしで公表用のものを作るという,私たちもさっきのことは自分たちで覚えていなさいねということなんですか。
○千葉座長 なしですね。
○事務局(黒川) ただ,個別にお問い合わせいただければ,可能な範囲で対応できるようにしておきます。
○千葉座長 分かりました。いざ何かのときには,そのように取り計らわせていただきます。
また,配布資料のうち,ヒアリング候補者の書面でございますけれども,名前を挙げさせていただいた方々にお断りなくとりあえず記載した文書でございますので,今の段階では公表しないことといたしたいと思いますので,どうぞ,そのお取扱いをよろしくお願いいたしたいと思います。
また,高橋委員から御配布いただきました資料につきましても,まだ検討途中で今から何か分かりますと,それこそ受け止めた方がもう今から準備を整えるということになってもいかがかと思います。これも今の段階で公表しないということにさせていただきたいと思いますので,どうぞ委員の皆様におかれましても,それぞれの資料につきましてのお取り扱いにつきましては,御配慮いただきたいと思っております。
それでは,以上の取扱いをするということで御了解をいただけたと思っております。
以上で一応本日予定しておりました議事は大分定刻は経過をいたしましたが終了いたしましたので,これで本日の会合を終了したいと思います。
次回の会合の議事につきましては,検察の改革に向けて,この会議で検討すべき項目についての意見交換を用意させていただかなければと思っておりますので,それぞれお考えのポイントなどを少しおまとめいただいて御発言いただければと思っております。また,ヒアリングと意識調査についての最終的な確認などもさせていただくことになろうかと思いますので,よろしくお願いいたします。
日程につきましては,原則木曜日ということで,次は1月20日木曜日の13時30分ということでございますので,よろしくお願いいたします。
なお,先ほどの御議論でもございますように,今後少し間で会議の数を増やさざるを得ないということも予測されますので,その点について御了解をいただきたいと思います。
それでは,以上でございます。大変長時間になりましたが,ありがとうございました。
―了―

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