ヒロシマ発経世済民 小泉政権の何が誤っているか(4)新自由主義的税制「改正」

仮置き

2005/05/14

http://www.janjan.jp/government/0505/0505136967/1.php

 小泉政権の何が誤っているか(2)で、小泉政権が増税や緊縮財政を続ける結果、名目成長率を低迷させ、税収を低迷させ、かくて今後も、財政再建が却って遠のく、ということを指摘しました。

 さて、小泉政権が増税というとき、この中には法人税は入ってきません。小渕政権のとき、所得税・住民税の定率減税と共に法人税の減税が行われました。所得税・住民税の定率減税のほうは、縮小・廃止を小泉政権は決めました。ところが、法人税の減税を撤回するということはしません。新自由主義的といえます。今回は、この政策パッケージの不公正さと経済活性化への無力さを問題にしたいと思います。

 今、大手企業の多くが過去最高の利益を挙げる一方で、家計のほうは雇用者報酬を始めとする数字の悪化に歯止めがかかったという程度の苦しい状態で、回復には程遠い状況です。

 増税するにしても、すべきところが逆ではないでしょうか?かろうじて立ち直りつつある家計にさらに負担増を強いる割には、企業部門に対しては甘くないでしょうか?小泉政権にとって「構造改革」の先輩である橋本政権のときから考えると、消費税増税もありますが、これも主に家計への負担です(価格を転嫁しにくい中小零細企業にも負担ですが。)

 そもそも、法人税減税は、アメリカのレーガン政権が大先輩です。簡単に考え方を言えば、法人税を減税することで、企業の投資を活発化し、経済の供給サイドを拡大するという狙いです。一方で、福祉などは切り下げるというものです。(が、アメリカではさほど切り下げられず、投資も高金利の影響で拡大せず、財政赤字だけが拡大した。)

 この発想を日本でも取り入れました。小渕政権は、ケインズ的政策を取っていましたが一方で法人税減税というサプライサイドに立った政策も取ったのです。それを維持しつづけているということは小泉政権もサプライサイド、新自由主義に立っていると言えるでしょう。

 さて、この法人税減税を維持しつづけるのは日本で投資を拡大するのに効果があるどうか。

 そもそも、くどいようですが、日本経済の問題点は、総需要が少ないことです。だからデフレになっている。そして、金融市場ではお金が余り、労働市場では失業者が一時よりは減ったとはいえ、多くいる。法人税を減税したからといって、投資が活発になるかといえば、需要が低迷する中でそうはならないでしょう。

 日銀資金循環統計を見ても、企業は、借金を返したり、貯金することに励んでいる様子が伺えます。そして、銀行は銀行で、企業から返ってきたお金で国債を買っています。2004年、民間非金融法人企業は、金融機関からの借り入れを10兆円も減らしました。銀行等は国債・財投債を9.6兆円増やしています。法人税が以前より軽くなっているとしても、そのことで新たな投資が刺激されるというより、むしろその分の多くが結局借り入れ金返済→銀行による国債購入に回っているのではないか、と思われます。

 結局、経済はあまり活性化しない(よって税収も増えない)中で、国による借金=国債残高だけが累増している(一方で、民間は投資が低迷してしかたなく国債を買い増す)、という状況ではないでしょうか?それが、「財政危機」の実態ではないか。これを断ち切る必要があります。

 私は、所得税・住民税の定率減税を廃止する前に、むしろ、法人税減税を元に戻すことを提案します。(私は政府通貨発行も辞すべきではないと考えますが、それができない場合のことを申し上げます。)そして、それで得られた財源で、財政支出を増やすのです。財政支出を増やすのがポイントです。

 政府が、お金を使うことで総需要を増やす。それによって、経済を活性化するのです。財政支出の増やし方はいろいろあるでしょうが、社会保障の自然増に手をつけなければ増えるでしょう。

 法人税を元に戻せば投資が減る、空洞化するのではないか、という意見もあるでしょう。しかし、法人税が少々低くても、経済の総需要が少なければ、投資は低迷します。国内需要が少なければ、企業は海外投資に活路を見出さざるをえなくなります。また、国内需要の低迷は、外需頼みとなり、円高が進みます。

 小泉政権が法人税減税のつけを、庶民増税や緊縮財政で補おうとすれば、消費が減り、経済が低迷するのは目に見えています。そのほうが余計空洞化も進むのではないでしょうか(内需低迷の国内より海外に企業は活路を求める)。むろん、税収も低迷し、財政も悪化します。

 増税によるマイナスを差し引いても、総需要は私の提案する政策により増えるはずです。その分、経済は上向き、税収も増えます。財政再建にも資する事でしょう。

 もうひとつ、現状を打破する方法があります。それは、例えば不払い残業撲滅や、正社員と非正社員の均等待遇による労働条件底上げです。これにより企業部門から家計部門への所得移転を図ります。そして消費を増やすのです。そのことにより、財政再建へとつなげていくのです。

 ともかく、今の庶民増税・法人減税維持・緊縮財政を続けていては、財政は悪化する一方、経済は活性化しないままがつづくことでしょう。

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(さとうしゅういち)

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